アリババのニューリテール戦略・第一号「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」

  • ニューリテールの先駆者にして成功者
  • 成功の秘訣は「ユーザー体験」
  • 30分以内に商品を配達できる秘訣

●ニューリテールの先駆者にして成功者

盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)は2016年1月にオープンした、アリババのニューリテールのプロジェクト第一号となる生鮮スーパーである。オンラインとオフラインを融合させたこの“無人”レジスーパーはあっという間に人気を博した。
店舗数は2017年末時点で25店舗に達し、成都市、深圳市、北京市、西安市などの各地でオープン準備中となっている。

華泰証券の研究報告によると、2016年のフーマーフレッシュのある店舗の売場効率(売場面積1㎡当たりの売上高)は、同業他者の平均水準の3.7倍と遥かに超越しているという。

フーマーの商品は、専用アプリを使った決済システムでしか購入できない。アプリはAlipayに紐づけられているため、最終的にはAlipay、さらにその先にある人民元で支払われるのだが、当初はアプリ以外のみでの決済を徹底した。
このアプリがフーマーのオンラインショップと実店舗

●成功の秘訣は「ユーザー体験」

フーマーフレッシュは、従来のスーパーにない驚きの試みをした。スーパーの中に、魚介類を活きたままディスプレイ展示する広大な展示エリアを設置したことである。

この生け簀から、客は海老や蟹などを自分で選び、網や手でピックアップする。ここで選んだ魚介は「海鮮バー」で既定の調理代を支払って調理してもらい、店内のイートインエリアで食べることもできる。

これは決して奇をてらった試みではなく、このスーパーの商品がいかに新鮮でおいしいのかを「体験」してもらうためにある。 店内の商品を実際に食べることに勝るユーザー体験はない。フーマーフレッシュを体験した客は、次回は店舗に来店しなくても、オンラインで安心して商品を購入できる。

●30分以内に商品を配達できる秘訣は

フーマーフレッシュは、オンラインのみで買い物することももちろんできる。
店内の在庫状況はアプリと同期しており、食品でも日用品でも、注文すれば自宅に届けてもらうことができる。価格は実店舗と同じ、しかも、店舗から3km以内であればなんと30分という短時間で配達される。Amazonのネットスーパー、Amazon fleshが最短4時間かかることを考えると、驚異的な速さである。

なぜこれほどの速さを実現できたのか?
公式の回答は次のようになっている。
「ビッグデータ、モバイルインターネット、スマートIoT、オートメーション化といったテクノロジーや先進設備を総合的に運用し、人、物、場所の三者間の最適なマッチングを実現した。サプライチェーンから倉庫、配送まで、フーマーフレッシュ自身で完全な物流体制を持つことで、物流効率を大幅に上げた。」(『新・小売革命』P.165)

すべてがITではなく、店内にはピッキングを行うための従業員が待機している。注文が入るとバッグを提げて店内の決まった区画を歩く。必要な商品をバッグに入れたら、それを天井に設置された輸送システムに載せることで、商品は倉庫へと運ばれる。ここまでのプロセスが約3分というから驚きだ。
店舗の裏には配達員が待機、ITシステムで配送経路や配送先の優先順位は自動計算される。
まさに、オンラインとオフラインの融合が速さを実現している。

フーマーフレッシュの爆発的な人気のため、不動産屋は3kmの配達圏内にある物件を「盒区房」とし、それ以外の地域より家賃を高く設定していることからも人気のほどがうかがえる。


中信出版の新刊『事例でわかる 新・小売革命』にて、詳しく解説しています。

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