上海、ついにゴミ分別を本格始動 ― 日本よりも厳しいゴミ捨てルールとは?

2019年7月1日、上海はゴミ分別を本格始動した。実施から約2週間(原稿執筆時点)、厳しいルールは賛否両論だが、やはり人々は、この日を待ち焦がれていたようだ。
なぜなら、本当に汚かったから。

中国は日本でいうところの団地や大規模マンション、タワーマンションが一般的な住宅である。それぞれの集落は「小区(シャオチュー)」という単位で数えられ、各小区には必ずゴミの集積所が設置されており、各家庭でゴミを持って行く仕組みである。しかし、ゴミ分別のルールがなく、「何でも捨てられる」というのが暗黙の認識だ。その結果、どんなにきれいな高級マンションでも、ゴミ集積所辺りだけ異臭が漂い、燃えるゴミから大型ゴミまで散らかっている光景が見られる。

統一したルールがないと、改善が難しい。そしてゴミ分別は特に、細かく設定しないと徹底できないという特徴もある。実は2000年頃から、中国は多くの都市で下図のような分別ゴミ箱を導入したが、まったく効果がなかった。ゴミ箱にはリサイクル可能とリサイクル不可の表示があり、分類されているように見えるが、実際人々は具体的にどう分ければいいかまったくわからず、公報もなかったという。

図:万里の長城にあるゴミ箱、それぞれリサイクル可能とリサイクル不可のマークがついている

シンプルに見えるゴミ問題だが、シンプルな方法はなかなか見出せない。今に至るまで、手間のかかるゴミ分別しか、答えを出せなかった。日本は数十年にわたる運動や議論を経て、やっとゴミ分別を徹底し、各国の先端を走っている。今回、上海のゴミ分別実施も、市長自らが姉妹都市の横浜に視察に行ったという。

上海が実施したゴミ分別は「史上最強」と言われている。『上海市生活ゴミ管理条例』によると、生ゴミ、乾燥ゴミ(生以外の燃えるゴミ)、リサイクル可能なゴミ、有害ゴミの四種類に分別されている。上海廃棄物センターは数百種以上のゴミ分別例も公表した。どこが厳しいかというと、例えば生ゴミを捨てる時、そのゴミ袋は乾燥ゴミに所属する。人々は生ゴミ自体をゴミ箱に捨てた後、袋を違う箱に捨てなければならない。また、鳥の骨が生ごみで、豚など大きい骨は乾燥ゴミであるなど、処理の際埋めるか燃やすかによって違う分別方法を取っている。さらに、決められた時間しか出せない点も大変厳しい。例えば、毎日朝7-9時、午後6-8時だけ集積所を開くところが多く、日本のように収集日前の夜に出すこともできない。ルール違反の場合、個人なら200元(約3000円)、企業なら5万元(約80万円)の罰金が課されると規定した。

厳しいルールの対応策として、ゴミ分別用のアプリやサイトが急増。政府も3万人のボランティアを募集し、ゴミ集積所などで実際に市民のゴミ分別を手伝うようにしている。一部の住宅地はQRコードスキャン機能や顔認識機能付きのゴミ箱を設置し、ゴミと捨てる人をリンクさせ、点検も行うそうだ。このような厳しいゴミ分別は中国で初めて実施され、将来は全国へ広げると言われるため、上海だけでなく、中国全土で熱く議論されるようになり、面白いエピソードも次々と現れた。

<人間は何ゴミ?>

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漫画:侠客島http://www.sohu.com/a/323459759_357283

ゴミ箱のそばに、ボランティアのおばちゃんが立っている。親切な声で問いかけてくれた「あんたは何ゴミ?」

本当は「あなたは何ゴミを捨てるの?」であるが、口語では後ろの部分を省略するため、「あなた自身は何ゴミ」に聞こえてしまう。

<タピオカの粒を細かくオーダー>

「タピオカの粒、10個でお願いします」

タピオカを注文するとき、食べ残したらコップを開けてゴミ分別するのが面倒だから、細かく10個で注文する人がいた。このほか、ライス少なめやスープなしなどの要望も急増したとデリバリー業者が述べた。串屋さんは「串を外して具だけください」というような要望も受けたという。デリバリーテイクアウトの多い中国は、浪費やゴミの発生が非常に多い。今回のゴミ分別で初めて完食することの大切さを意識した人も多いようだ。

一方、「家ではゴミ分別しなければならないから、外で食べよう」という家庭も増えたという。

<コロナビールのレモンはどうする?>

「上海人はもうコロナビールが飲めない」

SNSで、コロナビールが話題になった。その理由はゴミ分別である。コロナビールはビンの中にレモンを一切れ入れるのが流儀だが、そのレモンが取りだせないので、ゴミ分別できない。コロナビールのレモンを完璧に取り出す動画もネットで大ヒットになった。面白いことに、コロナビールの会社もすぐSNSの公式アカウントでレモンの切り方など動画を載せ、リプトンとユーモア満載のコラボレーション広告も出した。

https://wx2.sinaimg.cn/mw690/70ccf015ly1g4nv7f2j03j20u01d4b2j.jpg

図:コロナビールとリプトンのコラボレーション広告(リプトンオフィシャルWeiboよりhttps://www.weibo.com/ilipton?from=feed&loc=at&nick=%E7%AB%8B%E9%A1%BF%E8%8C%B6&is_hot=1

<新しいビジネスチャンス>

「ゴミ分別代行募集中。月謝13-20万円、必須スキルはスマホが使えること。」

冗談かと思ったら、本当の募集である。ここ数年、中国は代行サービスが著しく成長し、運転代行、清掃代行など一般家庭によく利用されている。それでもゴミ分別代行がこんなに早く出現したことに驚いている声が多いようだ。

ちなみに、スマホが必須スキルの理由はマップでルートを探すためだそうだ。

<ゴミ分別チャレンジ>

図:ビリビリ動画のゴミ分別チャレンジ特設サイトバナー(https://www.bilibili.com/blackboard/activity-Oz_SsQez_.html

中国の大手動画投稿サイトbilibili動画はゴミ分別チャレンジのイベントを企画した。1週間で1トンのゴミ分別をみんなで実現することを目指している。#ゴミ分別チャレンジ#をタグをつけ、1キロ以上のゴミを分別する動画を投稿し、友人を誘ってリレーすることが参加ルールである。ゴミ分別の動画を投稿し、参加したら、トートバッグなど奨励グッズももらえるそうだ。

図:ゴミ分別チャレンジで獲得できる奨励。左はアイコンに飾られるスペシャルアイテム、右はトートバッグ

上海のゴミ分別始動間もなく、多くの議論やエピソードが生まれ、以上は氷山の一角に過ぎない。まだまだ未熟な制度で、分別ルールにも欠点が多いが、国民が行動し始めたことは喜ばしい。だがそれだけでは足りない。ゴミ処理施設などインフラを整え、商品に分類のマークを付けることの義務付けなど、市民によりよいゴミ分別の環境を作ることも期待されている。2020年までに46都市、2025年までに全国でゴミ分別システムを広げる目標を、中国政府が表明した。目標を実現するには、上海の第一歩が意味深い。






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