テクノロジー×飲食店の未来がみえる・海底撈

  • 【もくじ】
  • 中国の火鍋文化
  • 中国発の火鍋専門店「海底撈(ハイディーラオ)」
  • 「ロボット従業員」を導入へ
  • 重要なのはやはり「人」

飲食業界にもテクノロジーの波が押し寄せている。飲食店とITを組み合わせる「レストランテック」は、 アメリカでは25億ドル(約2800億円)が投資される巨大市場(Coral Capital澤山氏による)となっており、すでに無人レストランなども稼働している。この分野への投資、研究がすすめば、飲食店の課題を解決するだけにとどまらず、これまでになかったサービスが生まれる可能性もあるという。
キャッシュレス化により、もはや無人店は当たり前の中国だが、配膳や、バックヤードにまでロボットを導入する店が現れた。中国で大人気の火鍋チェーン「海底撈(ハイディラオ)」だ。

■中国の火鍋文化

中国人にとって火鍋はソウルフード。日本でよく目にする火鍋は、辛い赤いスープ(紅湯)と、マイルドな白いスープ(白湯)がハーフになっているものだが、中国人は激辛スープ一色のものが好まれているようだ。
デリバリーでなんでも食べられる中国だが、器の問題もあってか、火鍋のデリバリーはまだ少ない。

三井住友銀行(中国)有限公司の調査によれば、中国の外食産業の売上のうち実に2割が火鍋店なのだという。自宅より、レストランでワイワイと火鍋を食べる中国人が多いのかもしれない。

火鍋は、テーブルに設置された熱いスープに肉やホルモン、野菜をくぐらせ、あるいは煮込んで、たれを付けて食べる。シメには麺を入れて煮込み、最後まで楽しむ。しゃぶしゃぶと似ているが、大きな違いは、食材をくぐらすスープ(湯底)がとても重要という点だ。花椒をはじめ、八角、クコの実など様々な漢方食材がブレンドされており、この調合がお店の味を作る。

■中国発の火鍋専門店「海底撈(ハイディーラオ)」

数ある火鍋チェーンのうち、一番人気と名高いのが、「海底撈(ハイディラオ)」だ。国内外に370以上の店舗を持ち、2018年9月には香港証券取引所に上場した。旅行者向けの口コミサイトでも、スコアが高く、一様に「素晴らしいサービス」と賞賛されている。

テーブルに案内されるまでの待ち時間に無料で利用できるネイルサービス(Photo:@mako_63)

人気店だけあり、どうしても待ち時間が長くなりがちだが、その間、無料でお茶やフルーツといったフードのほか、ネイル、靴磨きのようなサービスが提供される。無料のキッズルームもあり、子どもが遊ぶ様子をテーブルからモニターできるシステムも完備。

接客の質が高いことでも有名だ。従業員ひとりひとりに任されている裁量が大きいため、マニュアル接客ではない、心からの気遣いを感じられるのだという。

■「ロボット」を導入へ

そんな海底撈が昨年ロボットスタッフを導入した。IPOで調達した資金の20%をテクノロジーに投入したのだという。技術を提供したのは日本のパナソニック。両者は合弁会社を設立し、2018年10月ロボット店舗をオープンした。厨房での調理、ホールでの配膳と、それぞれ役割を持った5種類のロボットが稼働している。

同店は注文をタブレットで行うが、注文データを受信した食材保管庫のロボットアームが、棚から食材を取ってトレイにのせる。それを配膳ロボットが各テーブルへと運ぶという仕組みだ。食材をのせる皿には電子(RFID)タグが付いており、在庫、賞味期限の管理ができる。

そのほかにも、客ごとに自分好みのスープ(湯底)を調合するマシンもあり、自在にカスタマイズができるほか、専用アプリにそのレシピを保存できる。これで、お気に入りの味を寸分たがわず再現できるというわけだ。店側にとっては、約3000万人にものぼるという会員の好みをデータとして活用できる。

ロボットの導入は、人件費の削減や効率化のほか、注文ミスの削減、バックヤードに人の立ち入りがないことによる清潔さの確保など、飲食店の様々な問題を解消した。

客から呼ばれればすぐに対応できるようにホールスタッフを多く配置している(Shutterstock)
■重要なのはやはり「人」

ロボットの登場で、「神対応」で知られるスタッフたちはいなくなってしまうのだろうか。
海底撈の最高戦略責任者である周兆呈氏は、「人材こそ最も貴重な価値である」だとし、ロボットでは代替できない分野、具体的には豊富なユーザーエクスペリエンスを提供する部分で人材を有効活用するのだとしている。(36kr JAPANより https://36kr.jp/15468/

何度もリピートしたくなるほどの魅力を提供する鍵は、やはり「人」にあるようだ。
レストランテックは人の仕事をなくすのではなく、人が得意なことをさらに活かせる環境を作るために活用されていくだろう。

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