海底撈の社員モチベーションUP術(下)

<前回>海底撈の社員モチベーションUP術(上)

(上)からの続き

④考査は顧客満足度と社員満足度だけで判断しない。

 張勇董事長のロジックははっきりしている。
飲食業はお客様を満足させなければならない。しかし、どうすればお客様が満足させられるのか?それにはまず、従業員を満足させることだ。

 だから店長に対する考査では、利益は見ず、お客様と従業員だけを見る。顧客満足度の考査においては、会社が見ているのはお客様のクレームの数ではない。そのクレームに反映された問題を明らかにする勇気があるかどうか、クレームの内容を詳しく分析しているか、本当に効果的な改善措置を取ったどうか、そしてクレームのお客様に最終的に満足させたか、を見るという。

 一方、従業員について、店長に対する重要な考査指標は人材の成長だ。2011年の約50店舗から2016年には100店舗以上に拡大し、5年間で店舗数が倍増した。これを可能にした要因の一つは、管理職と社員チームの急速な成長がある。

店内で「変面ショー」が行われるなど、客を楽しませる工夫が多数なされている。

⑤従業員が感じている「サポートがある」安心感

 まず、海底撈には効率的な3つの定例会がある。——リーダー経営定例会、店長経営定例会、運営管理職経営定例会の3つだ。これらの定例会を通じて、毎日前日に発生した問題を処理する前に、現場の情報を上層部に迅速に伝えて解決している。

第二に、幹部が現場に来て指導するという慣例がある。各幹部はまとまった時間を確保して現場を訪れ、従業員と一緒に食事をし、現場で従業員の意見を調査し、施策を説明し、実践を交えて指導もする。

第三に、対応プロセスルールの策定をとても重視している。管理経験を積めば、同様の問題が発生したとき処理速度が高まる。こうした努力が施策の発表、執行、修正を速くする。

最後に、素晴らしいケースサポートシステムがあり、事例の蓄積によって同じ問題の処理速度を向上させている。

 さらに海底撈には7つの「放置しない」がある。
問題の原因が見つからないのを放置しない。問題の責任者が見つからないのを放置しない。問題の解決方法を見つからないのを放置しない。改善が実行されないのを放置しない。責任者と従業員が教育を受けていないのを放置しない。長期間改善策が実行されないのを放置しない。書類が作られないのを放置しない。

⑥最高の激励:「人として正しいこと」を評価

 海底撈ではまず運命とは「自ら切り開くもの」としている。また採用基準では「能力より態度」を重視、人としてのあり方と仕事をする上での原則は「天を敬い人を愛し、正しい事を行う(敬天愛人、正確做事)」としている。

 だから海底撈では、従業員は自分の行動について上層部の顔色を見る必要も、社長から何を望まれているかを推測する必要もない。ただ“人として何をするのが正しいか”の原則に従い、ひたむきに担当業務に取り組むことで昇進のチャンスが訪れる。これこそが従業員への最高の「激励」になるのだという。

⑦規則も、ある意味「激励」だ。

 海底撈には、明確なレッドラインと規則のコントロールがある。張勇董事長によると、組織には規則が重要で、「規則はいい人が悪いことをするのを防ぐ」という。

 例えば、業務上の付き合いがある友人と海底撈の仕入れ担当とが食事をしているとする。食事後、仕入れ担当は直接請求書を持ってきて、自分の分を計算して友人に金を渡した。

 友人はとても困惑している。仕入れ担当のメンツをつぶすのではないか、と?(※中国の会食では、誰かがまとめて払う習慣があり、本来なら仕入れ担当が払うはずだったと思われる)

 もちろん、海底撈の彼の価値観と様々な激励手段によって形成された独特なエネルギーは一日、二日でできたスローガンによるものではない。これは海底撈の長きに渡る文化の蓄積と歴史の根源から生じたものだ。

 仕入れ担当は丁寧に答えた。「誤解しないでください。私たちの海底撈には規則があります。顧客と食事をしても良いが、必ず割り勘にしなければいけません。会社に説明できません。どうかご理解を!」。この仕入れ担当は取引先への接待を禁止する規則をしっかりと守ったのだ。

 また海底撈では覆面調査員による店舗調査や社内の報告ホットラインがあり、何か良いこと、または悪いことを見つけたら、必ず社内報担当に報告される。掲載された従業員やマネージャーはフィードバックしなければならない。良い行いならば大いに賞賛され、悪い行いならば大いに反省を求められることになる。

張勇董事長インタビュー(中国語)

 以上、海底撈の社員モチベーションUP術。実践したいと思えば、実はとても簡単で、従業員の人間性を十分に尊重すれば、人間性の底から充実感が湧き上がってくるのだ。

 まずは従業員の中の生存と安全の欲求を満たし、そのあとキャリアアップさせて、彼らを尊重すると、彼らの中には強い行動力を生じる。それこそがより高いレベルの激励哲学なのだという。

<参考サイト>
https://www.haidilao.com
https://www.toutiao.com/a6740101606898926094/

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