2019年W11商戦、カギを握る「地方都市」

 2019年11月11日、今年も中国最大級のネットショッピングの祭典「W11(ダブルイレブン/双十一)」が幕を開け、CITIC PRESS Japanでも関連情報を伝えた。
イベント仕掛け人であるアリババや、そのライバルとされる「JD.com(京東)」を筆頭に、新顔「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」も台頭して更なる活気を見せるEC市場。2019年W11レースの勝敗は「地方都市」がカギを握っているという。「中国之声」が伝えた。

W11レースの状況

 11日午前0時、売上高を競うレースが開始。アリババの「Tmall(天猫)」は1時間3分59秒で総取引額が1000億元を記録、3時間が経過した時点で1325.7億元を超えて爆発的勢いを見せつけた。「JD.com(京東)」は助走時間が長めで、11月1日から11日0時の10日間で累計注文額が1313億元を記録した。(関連記事)

W 11のニュースは17:10から。イベントの様子は26:25頃から。

地方都市戦略

 Tmall・タオバオの蒋凡(ジャン・ファン)総裁は「セール開始後の1時間はハラハラさせられたが無事記録更新できた。今年初の試みとして「手数料なしの24回分割払い」を導入したことが売り上げに直結した。同じく今年初めてライブ配信による販売を実施、消費市場全体に変化をもたらし、特に先行販売段階での取引増に貢献した。Tmall出店者の半数がライブ配信を実施した」とコメントを発表した。

 「分割24回払い無金利」の影響もあり、家電系各ECプラットフォームの消費者開拓は、瞬く間に農村部、中小都市、村や町を含む地方都市市場(下沈市場)へと広がった。アリババの最近の財務報告データはまさしくこの地方都市市場が顧客獲得のカギであることを示している。

 JD.comも、昨今の「消費のアップグレード」の重点は地方都市市場に置かれているとみている。同社統計によると、今年は生鮮食品分野が地方都市市場で急速に発展中だという。W11期間中、海南省白沙県の取引高は前年比で約20倍、広西省玉林市は約10倍のアップ、地方都市市場の輸入生鮮食品取引高は前年比60%以上増を記録した。

 JD.comグループ副総裁・京東小売グループプラットフォーム業務センター責任者である韓瑞(ハン・ルイ)氏は、W11で地方都市市場の同社ユーザーが5億に達する見込みだと明かした。「地方都市市場に焦点を絞るというのは、EC業界も小売業界も大変重視する成長の方向性だと言える。当社は「大秒殺(激安商品のタイムセール)」をアップグレードさせて、新たに開拓したサプライチェーンサービスをより多くの地方都市ユーザーに提供する。今年の「W11」は高品質追求型ユーザーのためだけのイベントではなく、全国民にとっての「W11」でもあると信じている」(韓氏)。

 地方都市市場の成長について、商務部研究院研究員である周密氏は「地方都市市場戦略はより良い商品を入手できなかった消費者をどうつなげるかということ。最終的な成長はより持続可能なものでなければならない。だから地理的問題、物流コスト、カバー率、消費概念を含めて地方都市市場自体に更なる誘導や調整が必要。補助金や政策促進だけに頼ってはならない」とコメントした。毎年塗り替えられるW11の各社EC取引高更新記録について、同氏は「更新スピードにはいつか限界がくる。近頃は「高品質」の成長を求める傾向にあるが、この成長には品質保証を含む製品の持続可能性の話が関わってくる。各社が消費ニーズにより適応しようとするならば現状の改善が必要だ」と指摘する。

EC古株2社に勝負を挑むスタートアップ

これまで上位二強を中心に大手がW11商戦を支配してきたが、今年は新顔の拼多多が加わり三つ巴の戦いの様相を呈する。三社とも今年は地方都市市場に主な狙いを定めた。

 地方都市市場の消費の伸びについて、前出のTmall・タオバオ総裁である蒋凡氏は「過去2年間で新規ユーザーの70%が地方都市消費者であることが分かった。彼らの1年目の消費額は2000元以上、これは広大な第4~6線都市の消費者も品質を重視していることを意味する」と語った。

<参考>  ・一線都市:北京市、上海市、広州市、深セン市 ・二線都市(一部):ハルビン市、長春市、大連市、済南市、徐州市、紹興市、厦門市、福州市 ・三線都市(一部):洛陽市(713万人)、桂林市(534万人)、咸陽市(436万人)、宜昌市(416万人)、吉林市(415万人)、鎮江市(319万人)、フフホト市(311万人)、大慶市(293万人) →一概には言えないが四線以下の都市はこれらよりも規模が小さい傾向にある。

 アリババが第3・第4線都市市場に進出し始めると同時に、その地方都市から戦いを挑む拼多多。今年も「農村が都市を包囲する」独自の道を切り開いた。W11前夜、第2回中国国際輸入博覧会で同社関係者が明かしたところによると、拼多多は3年以内に世界的トップブランド1万を導入し、販売額1千万超の輸入ブランドを100以上育成するとのことだ。

【農村が都市を包囲する】毛沢東が国民党との戦い(国共内戦)において示した基本方針に由来し、中国ビジネスでよく使われる言葉。大手資本に対抗するために、大手が未着手の顧客をしっかりと掴み、形勢逆転を狙う戦略を意味する。
http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2011-05/18/content_359047.htm

 創業4年のスタートアップである拼多多。恐れを知らない若い勢いで今年のW11の起爆剤となり、もはやその勢いを軽視することはできない。その市場価値レベルは現在JD.comを上回り、テンセント、アリババ、美団(メイトゥアン)に次いで中国4番目のインターネット企業へと成長した。

 電子商取引オブザーバーである魯振旺(ルー・ジェンワン)氏は、アリババグループの場合はしがらみが多く「守り」姿勢であるのに対し、拼多多は相対的に「攻め」姿勢だという。一方で、拼多多は確かに勢いがあるが、同社がアリババグループなど大手ECプラットフォームとの平和的共存の道を望むならば、「品質」「手頃さ」という消費者のどちらのニーズも満たす必要がある、と指摘する。

 「拼多多はアリババグループにはまだまだ追いつかない。同社ブランド陣営の充実度合いが分かるまで3年はかかるだろう。都心部ユーザーも習慣的に拼多多でのショッピングをすることができる。これは非常に重要なことで、拼多多ショッピングが習慣化すれば、拼多多は自社サイトのより強大なブランドマトリックスの構築を迫られるだろう。最終的にはブランド争奪戦なのだ。現在、ブランドはアリババグループによってコントロールされているが、将来的にどれだけのブランドが拼多多に乗り換えるかが重要となってくる」(魯氏)。

<参照サイト>
https://tech.sina.com.cn/i/2019-11-11/doc-iicezzrr8619847.shtml

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