モバイル決済業界の2019年(上)

 中国シンクタンク「iiMedia Research(艾媒諮問)」は、調査データから中国モバイル決済ユーザーは年々増加傾向にあり、2019年には7.33億人、2020年には7.90億人に増える見込みだと発表した。

大手2社でシェア9割

 市場進出で先行したアリババグループの「アリペイ(支付宝)」とテンセント(騰訊)の「財付通(ウィーチャットペイ:微信支付、QQ銭包)は、ユーザー体験とオンライン・オフラインでの利用シーンの豊富さを重視し、モバイル決済の90%以上のシェアを占め、モバイル決済市場の競争の第一グループだ。

 第二グループにいるのは 大手EC・スーニン(蘇寧)の「スーニンペイ(蘇寧金融app)」、銀行系電子決済「銀聯(UnionPay)」の「雲閃付(Mobile QuickPass)」、保険大手「平安グループ」の「壹銭包(イーチェンバオ)」など。第二グループのモバイル決済サービスはユーザー数と市場シェアでは第一グループに及ばないが、根強いユーザー層を持ち、サービスにはそれぞれ特徴があり、大手とは違うユーザーをつかんでいる。

生活エコシステムを構築する「アリペイ」

 アリペイは、アリババグループの各種サービスと連携して、支払いと投資信託を中心にエコシステムを形成。オンライン・オフラインのどちらの生活シーンも幅広くカバーし、ユーザーに多彩な機能を提供すると同時に、消費意欲を刺激する仕掛けもなされている。また、アリペイは公益配慮でもユーザーの好感度が高く、ゲームや付加機能などもユーザーに支持される要因のようだ。

 2019年上半期の消費者向けモバイル決済市場で、アリペイはショッピング、医療、社会保障など全てをカバーしたユーザーの生活エコシステムの構築に注力した。ビジネス向け市場では、零細業者がデジタル科学技術を共有できるように支援し、賦与するという金融戦略を始めた。具体的には、無料デジタル化運営ツール、無料デジタル受信ツールなどパッケージ支援プログラムの提供だ。また同時期にアリペイは「蜻蜓2.0」という顔認証決済システムや、ブロックチェーンでオンライン化した医療システム及びゴミ分類システムなどを打ち出し、スマートライフを推進し続けている。

アリペイのユーザー像(iiMedia Research)
・女性42.0%:男性 58.0%
・30歳以下:67.2%
・月収5千元(7.5万円)以下:58.8%

海外展開に注力する「ウィーチャットペイ」

 ウィーチャットペイの最大の強みは、メッセージアプリ「ウィーチャット(微信)」に搭載されている点だ。「お年玉イベント」などでユーザー間のコミュニケーションと決済との連動や、高齢者のような決済の頻度が少ないユーザーまで広くカバーしていることも特徴だ。

 今やウィーチャットのアカウント開設が企業のマーケティング活動にとって不可欠。また利用企業が独自のミニプログラムを開発することで、ユーザーと利用企業の距離が縮まり、より多くのウィーチャットペイによる取引シーンを創出している。

 2019年上半期、ウィーチャットペイはビジネス向け市場、それも海外に向けて一歩ずつ前進を始めた。3月、ウィーチャットペイは海外の事業者に対するサービスを強化すると発表。技術と財務のサポート施策を打ち出し、事業者にウィーチャットペイでの決済を取引に導入するよう推奨した。

 これは「ウィーチャットペイ—サービス業者—取引先」のエコシステムを海外でも展開しようというもの。事業者はウィーチャットペイ決済、ミニプログラムなどを利用して、業界的なソリューションの購入または自社開発を行い、管理効率を向上させる。これにより様々なユーザーとの接点を引き寄せ、多くの人の支持を得ることで、さらなる営業収益増加を実現する。

ウィーチャットペイのユーザー構成(iiMedia Research)
・女性49.1%:男性50.9%
・30歳以下:58.5%
・41歳以上:19.1%
・月収5千元(7.5万円)以下:61.2%

 ウィーチャットユーザーは主に中低所得の若者層を中心に、男性ユーザーが多いアリペイと違い、ウィーチャットは男性と女性がほぼ半数ずつとなっている。これはウィーチャットが街の市場などで中高年の女性に多く利用されている傾向があることと関係があるかもしれない。

(下)に続く

<参照サイト>
https://www.iimedia.cn/c1020/67794.html

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