【中国ニュース読み解き】武漢封鎖を陰で支えた地域密着型組織

日本では日に日に高まる新型コロナウイルスへの不安。逆に最初に国家レベルでの対応を経験した中国では若干「峠を越した」感覚が広がっています(2020年3月末時点)。中国では都市を丸ごと封鎖するという大胆な施策で閉じ込めを図りましたが、その封鎖された側はどのような生活を送っていたのでしょうか?

中国のあるメディアは、封鎖された街の様子を写真とともに伝えています。(本記事の写真はイメージです)

外出規制を実現した「小区」の働き

中国で新型コロナウイルスによる都市封鎖を開始したのが2020年1月23日。すでに2か月以上が経過しました。

この間、中国の消費者も非常に息苦しい生活を続けてきました。特に真っ先に、そして最も厳格な都市封鎖対象となったのが湖北省武漢市です。

3月17日付の『南方都市報』では「武汉封城55天,小区封控“硬隔离”景观(武漢封鎖55日。小区コントロールによる厳格封鎖の景色)」との見出しで、封鎖から55日の様子を写真付きで報じています。

そこに映るのは人通りが絶えた街並み、臨時の仕切りで通行止めをしている道路、料理を運ぶフードデリバリーサービスの「美団(メイトゥアン)」の配達員たち。

めったに見られない「もの静かな中国」の姿からは、事態の深刻さを感じざるを得ません。しかし同時にそこには困難な状況を受け入れつつ、生活を続けている武漢の人たちの姿や街としての営みが完全に絶えたのではなく、状況に応じながら継続している様子が垣間見えます。

そんな生活を続けられているキーワードであり、同記事が取り上げているのが「小区(シャオチュー)」によるコントロールです。

小区とは集合住宅、団地などを単位にした居住エリアのことで、中国ではこうした生活エリア内に「居民委員会」、通称を「居委会」という民間行政単位とも呼ぶべき組織が置かれています。その役割は「政府が決定した政策を末端まで浸透させること」にあります。

こう書くとややネガティブな印象を持ってしまうかもしれませんが、実態はその居住エリアの住民により構成されており、日常的にはエリア住民の生活の悩み解決や建物の管理会社の監督など、住民サポート組織としての役割が主体です。住民とも良好な関係を築いているケースが多く見られます。

特に今回の外出規制においては、この組織が非常に大きな役割を果たしました。

居住地へ立ち入り・外出時の人員記録や体温測定のほか、外出規制が厳しくなった後の肉や野菜といった普段の食料品の買い出し、さらには何らかの疾患を抱えている人のための薬の購入代行など、そのエリアの住民の生活を支えたのです。

日本のニュースなどでは、中国の消費者が「巣ごもり生活」のなかでショッピングサイトやSNSなど、ネットを通じたサービスを活用する様子が報じられていますが、そうした心理的な余裕を持つことができたのは、中国各地のこうした居委会の働きがあったのではと想像できます。

ちなみに、新型コロナウイルス情勢下における居委会の作用については中国ビジネスの専門家である田中信彦氏による「徹底的な隔離はなぜ実行できたのか~中国の「大衆を動かす仕組み」の底力」https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2020032601/index.html)に詳しく紹介されています。
【ライター:白圭HAKUKEI】

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