上位3社の売上が全体の6割 中国デジタル読書市場の動向

日本では「若者の活字離れ」が叫ばれて久しいですが、中国も状況は似ています。中国青年網の調査によると、44.91%の大学生は一カ月の読書量が1冊未満という結果でした。また、中国新聞出版研究院が発表したデータによると、「読書量が少ない」と感じている人の割合が37.5%と4割に迫っています。

こうした中、注目されるのがスマートデバイスを使った「デジタル読書」。参入企業の増加やIP展開の本格化など、急速なスピードで成長するデジタル読書市場・産業について、中国の調査会社「analysys易観」のデータをもとにみていきましょう。

デジタル読書市場規模 トップ3社でシェア6割
Analysys易観より提供

上記のグラフは「2013年〜2019年の中国デジタル読書市場規模」を表したものです。2019年は前年同期比28.37%増の222.32億元(約3,348億円)で、順調な成長率であるといえます。版権の運用や広告収入、ユーザーのコンテンツ購入が主な収益となっています。

また、2019年における市場の動向として、番茄小説をはじめとした無料のサービスを提供する企業が増えたということが挙げられます。広告収入を主とする無料のサービスが増える一方で、市場シェアは上位3社が6割を占めており、2017年・2018年が7割のシェアを占めていたことを考慮すれば寡占化は若干緩和されたといえ、上位企業の影響力はまだ大きいといえるでしょう。

1元=15.06円計算

MAUトップ10 無料版サービスが半数
Analysys易観より提供

上記は「2019年1月~2020年2月モバイル読書プラットフォームのMAU(月間アクティブユーザー)トップ10」のサービスです。

1位は掌閲文学(iReader)で5,974.97万人、2位はQQ閲読で5,027.66万人、3位は咪咕閲読で3,497.63万人となっています。iReaderは2020年3月に検索エンジンの百度から投資を受けており、QQ閲読はテンセント傘下のサービス、咪咕閲読は通信大手China Mobile傘下のサービスです。

上位はサブスクリプションサービスなどを実装した有料サービスが多いものの、無料版のサービス(上記青線で囲っているもの)も半数を占めています。

コンテンツの輸入と輸出
Analysys易観より提供

テンセントグループ内の「テンセント文学」とゲームで有名なIT企業である盛大(シャンダ)傘下の「シャンダ文学」が2015年に合併してできた「閲文グループ」。

同グループはコンテンツを海外に展開すると同時に、海外のIPを中国国内で展開しています。2019年の海外展開としては、6月にシンガポールテレコムと戦略提携、8月にアフリカで圧倒的なシェアを持つスマートフォンメーカーTECNOと戦略提携、9月にタイのオンライン文学プラットフォームOBUの株式20%を取得。10月には『The King’s Avatar: For the Glory』を東南アジア諸国、12月に『その魔女を放せ』を日本のオンライン漫画プラットフォームRenta!でリリースしています。

一方で、海外の有名IPを中国国内で展開する事例も。2019年10月にはウォルト・ディズニー・カンパニー・チャイナと協業のもと、中国人作家による『スター・ウォーズ』のオリジナル作品を制作する計画を発表しました。

カギを握るは地方都市・農村ユーザー
Analysys易観より提供

国家統計局の公表したデータによると、中国の2018年時点でのインターネットユーザーは8.3億人、前年比7.2%増と順調な増加を見せています。人口全体を見たときに、農村人口は約39%を占めているにもかかわらず、デジタル読書を行っている四線以下の都市および農村のユーザー比率は1割程度で推移しており、ここに拡大の余地があるとみられています。こうした地方都市・農村のユーザーを無料サービスによって引き入れ、彼らに利用してもらうことでデジタル読書市場はさらに拡大していくでしょう。

市場だけではなく産業の理解も

昨年、中国のSF小説『三体』の日本語版が出版され、様々な著名人が高い評価を示しました。中国では上記で紹介した様々なプラットフォーム上で、プロ作家はもちろん、アマチュア作家も作品を展開し、実写映画化までされたケースもあります。

アニメやゲーム、そして文学作品、こうした様々なコンテンツのレベルが上がりつつある中国。市場としても魅力的である一方で、急速に成長した産業についても理解しておくべき時期に来ているのかもしれません。

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