「中国のシリコンバレー」が生み出した ドローン最大手DJIとは?

中国では急速な経済発展に伴い、高い国際競争力を持つイノベーティブ企業が続々と誕生しています。今回は世界を席巻する中国企業の代表例として、ドローンメーカー「DJI」を紹介したいと思います。

DJIを生み出した「土壌」と「信念」

DJIは2006年創業の若い企業ですが、今や民生用ドローン市場で世界シェアの約7割を握る、圧倒的なトップ企業として君臨しています。高い性能と飛行安定性、価格の安さは他社の追随を許さず、「ドローンと言えばDJI」と言っても過言ではありません。

同社が本社を置く深圳は「中国のシリコンバレー」と呼ばれ、夢とチャレンジ心を抱いた若者が多く集まる「移民都市」であり、あらゆる部品が瞬時にそろう製造業のエコシステムがこの新興企業を育んだ土壌として指摘できるでしょう。

創業者の王滔(フランク・ワン)氏は浙江省出身で1980年生まれ。小さい頃から飛行機模型が大好きだったといい、香港の名門大である香港科技大学を卒業後、深圳で同級生らと数人でDJIを設立しました。

公式サイトを見ると、王氏は自社を「イノベーションのユートピア」と表現し、他社製品の模倣でなく自主的な研究開発を重視。「卓越性を追求するには、72時間連続で働くくらいの執着心と、真実を大声で話す勇気が必要だ」という信念の下、猛烈なエネルギーとスピード感あふれる事業展開で、わずか十数年の間に全世界の従業員が1万2千人を超える大企業に育て上げました。

徹底された知財管理

DJIの強さは「特許力」にも表れています。特許分析会社パテント・リザルトが日本の特許庁のデータをもとに企業別の特許数や特許による収益性などを総合的に評価したランキングがあります。DJIはこの2019年ランキングで、2位以下を大きく引き離しトップとなっています。

また、日本の特許庁がまとめた「平成30年度 特許出願技術動向調査報告書 ドローン」によれば、DJIが中国国内や日本のほか、欧米での特許出願も積極的に行っていることがわかります。とかく知財侵害の問題が指摘されがちな中国企業ですが、同社は国内外問わず権利侵害による申し立てを行っており、知財管理を徹底している企業であるといえます。

ドローンだけにとどまらない商品ラインナップ

代表作の「Phantom」シリーズが空撮用として大ヒットし、その後、軽量コンパクトな「Mavic」シリーズなどのラインナップを充実させてきました。近年は産業用途の開拓にも力を入れており、農業や防災、インフラ点検向けなどにも活躍の場を広げています。

DJIの製品はドローンだけではありません。手持ち撮影用の小型カメラ「Osmo」シリーズは、YouTuberをはじめとしたSNSで動画を投稿する人たちの愛用アイテムとなっています。

また、科学やものづくりの力を養う「STEAM教育」が注目される中、教育用のプログラミングロボットの商品も。このほか、未来のエンジニアを養うため、国際ロボットコンテストも主催しています。日本の小学校では今春からプログラミング教育が必修化されていることを考えると、こうした教育関連の商品も今後注目を集めそうです。
【ライター:西山大地】

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