中国の教育 過酷な大学入試「高考」とは?

中国の大学受験が厳しいことは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。毎年一斉に全国の学生が参加する「高考」、試験当日は会場近くでクラクションを鳴らすのが禁止されるほどの厳重さです。

例年6月の初めに行われる高考ですが、2020年は新型コロナウイルスの影響により、実施日が一カ月繰り下げられ7月7日・8日となりました。今回は、中国の“一大イベント”ともいえる高考について解説していきます。

統一試験「高考」とは?見出し

中国での大学入学試験は「高考(ガオカオ・gaokao)」と呼ばれています。正式名称は「普通高等学校招生全国統一考試」です。日本の大学入試センター試験と同じだと感じた方もいるのではと思いますが、異なる点がいくつもあります。最も異なる点として挙げられるのが、「本番一発勝負」であるということ。日本の場合、国公立大学の受験生はセンター試験の点数によって二次試験を受けますが、高考に二次試験は存在しません。

また、日本と違う点は出願形式にも見られます。試験からしばらくすると、大学の合格基準ラインが公開されます。その基準と自身の点数(オンラインで参照可能)を見比べて、合格できそうな大学に出願するという形式を採用しています。日本は試験を受ける前に出願しますが、中国は後からの出願です。高考の成績が希望の大学に届かなかった受験生は、日本と同じく浪人をしたり、海外大学への留学を検討したりするようです。

受験科目と満点

高考は2日間に分けて行われます。統一試験といいながら、地域ごとにいくつか試験問題が分かれており、選択科目に関する取り決めも一様ではありません。ただし、一般的な受験科目について言及すれば、文系の受験生は語文(国語)、数学、外国語(主に英語)に加えて文科総合(政治・歴史・地理)を、理系の受験生は語文、数学、外国語に加えて理科総合を受験します。多くの省では、語文150点、数学150点、外国語150点、文科または理科総合300点の合計750点満点とされています。

合格レベルの不均衡

一見、平等な試験に見える高考ですが、合格レベルの不均衡を生み出している側面もあります。その理由は大きく分けて二つあり、一つ目が地域差、もう一つは優遇措置です。

先ほども少し触れましたが、統一試験とはいいながら、全国が一律に同じ問題ではなく、地域によっては異なる問題を採用している省もあります。大きく分けて、「全国I巻」、「全国II巻」、「全国III巻」、「自主制作問題」と分かれています。教育レベルが高くない地域(雲南・広西・チベットなど)は「全国III巻」を採用しており、この問題はほかと比較して易しいといわれています。

試験問題だけではなく、地域による合格者数にも格差があります。各校は地域ごとの合格定員を定めており、必然的に人口の多い地域は不利になります。人口1億人を超える山東省出身の生徒が名門・北京大学を目指した場合、競争人数が多く、高得点帯の生徒も多くいるため、入学するのが非常に難しいとされています。一方で、教育水準があまり高くない地域や、人口が少ない地域は競争率が低く、合格しやすい傾向にあります。

もう一つの不均衡は少数民族に対する優遇措置からくるものです。高等教育機会を増やすことを目的に、中国は少数民族の受験生に対し点数を加算しています。マイナスな施策ではありませんが、試験の公平に影響をもたらすことは否めません。

地域によるレベルの不均衡が生み出した「高考移民」

上記のように、地域によって合格レベルがまちまちになると、自分の子どもが有利な地域で受験できるよう戦略的に戸籍を移す、いわゆる「高考移民」という問題が発生します。高考移民によって、一番被害を受けるのは現地にもともと住んでいた生徒で、彼らは生まれたときからその土地に住んでいるにもかかわらず、高考移民によって競争率が上がってしまい、例年の合格ラインでは希望の大学に届かないという現象が起きてしまうのです。

2019年には、深圳市での高考移民問題が新京報をはじめとした様々なメディアで大きく取り上げられました。今回の高考移民は、普段河北省の学校で授業を受けている生徒の戸籍を深圳に移しておき、試験のときのみ河北省から広東省の深圳市に渡り、受験するという手法です。競争の激しい河北省ではなく、広東省で受験することで有利に受験できたというわけです。しかし、この事件は国によって調査が実施され、32名の受験資格がはく奪されたほか、深圳市で高考移民を受け入れていた学校は処分を受けることになりました。政府は取り締まりを続けていますが、完全なる解消には至っておらず、今後も取り締まりは続いていくとみられます。

進む高考改革

レベルの不均衡や高考移民など、課題も見受けられる高考。2020年には一部の省で外国語の試験が一年に2回受けられるようになりました。日本でも大学入試センター試験のあり方が変わろうとしている最中、隣国中国でも試験制度は刻々と変化しています。国ごとに抱える問題は違えど、時代に即した試験のあり方を追求することは万国共通なのかもしれません。

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