中国企業が上位5位独占 多機能すぎる中国のキッズ向けスマートウォッチ事情

筆者が2年前に広東省深圳市に行った際、多くの子どもがスマートウォッチをし、慣れた手つきで親と通話する姿を見かけました。単なるオモチャにすぎないと思っていたキッズスマートウォッチで音声通話ができて、カメラで写真を撮ることができる、この多機能さに驚きました。調べてみると、さらに多くの機能があると判明。今回は、大人が使用するスマートウォッチに引けを取らない中国のキッズ向けスマートウォッチについてみていこうと思います。

キッズ向けスマートウォッチの一大市場・中国

香港に本社置く国際的な調査会社Counterpoint Technology Market Researchが2020年4月に発表した出荷量ベースのデータによると、全世界のキッズ向けスマートウォッチのシェアにおいて、第1位は中国の小天才(海外ブランド名:imoo)、2位は華為(ファーウェイ)、3位は奇虎360という結果でした。上位5位を中国企業が占めており、キッズスマートウォッチ市場は中国の強い分野ということができます。

通話からペイメントまで!
シェアトップの3社が販売するキッズスマートウォッチ

① imoo
広東小天才科技有限公司より提供

シェアトップの小天才(imoo)は2011年に広東省東莞市で設立した企業で、1995年創業の歩歩高電子有限公司(以下、歩歩高)という学習系端末を製造・販売する企業の1ブランドとして成立しました。歩歩高自体は現在も電子辞書や学習用のラジカセなどを扱っています。また、有名なスマートフォンメーカーのOPPO・vivoもこの企業から派生しており、現在のテック系企業の草分け的な存在でした。

キッズスマートウォッチの販売は2015年に開始し、2018年には累計販売台数1,000万を達成しました。

同社が展開するスマートウォッチ「Z6」は、時計の文字盤部分を立ち上げアウトカムで写真を撮ることが可能。また、通信キャリアのnanoSIMカードを入れることで音声通話はもちろん、保護者のスマートフォンから位置追跡、音楽や学習系アプリを使うこともできるという、機能性は一般のスマートウォッチに引けを取らないものとなっています。価格はECサイトTmallの小天才公式ショップで記事公開日現在1,598元(約24,034円)、キッズ向けスマートウォッチの中では高い値付けとなっています。

② ファーウェイ

二番目のシェアを誇るのは、華為(ファーウェイ)。同社は1987年に広東省深圳市で創業しました。アメリカの調査会社米IDCが2020年1月30日に発表した2019年の世界のスマートフォン(スマホ)出荷台数シェアによると、ファーウェイは第二位となっています。

スマホでは確固たる地位を築いている同社が販売する「HuaweiキッズウォッチX3」は、音声通話や学習コンテンツのほか、カメラで撮影した写真をクラウド上に保存しておくことも可能。価格は798元(約12,002円)と、imooよりは低い価格を設定しています。日本でもファーウェイのスマートウォッチは発売されているものの、キッズ向けのラインナップは未発売のため、今後は日本でも販売される流れとなるのか注目です。

③ チーフー360

3位につける奇虎360(チーフ-360)は、2005年に北京で創業したセキュリティソフトを開発・販売する企業。2013年よりキッズ向けスマートウォッチ市場に参入し、2020年も新製品を発表し続けています。

360キッズウォッチ8X」はセキュリティソフト企業ならではのセキュリティの高さを謳っているほか、防水、大容量バッテリー、ペイメント機能を前面に打ち出した製品となっています。価格は398元(約5,986円)と前に紹介した2製品よりも低い価格設定が特徴です。

一大生産都市・深圳市による技術基準

中国企業がキッズスマートウォッチの市場シェアを獲得していることは前述しましたが、その中で最も生産が盛んなのが広東省深圳市。国家標準化委員会によれば、2018年時点、中国国内で製造されているキッズ向けスマートウォッチの8割以上が深圳市で製造されているおり、深圳はまさに“キッズ向けスマートウォッチの中心地である”としています。

子どもが使用するという点を考慮し、安全性の基準を設けるべきだとの声があり、2018年には深圳市消費者委員会および深圳市品質消費研究院がスマートウォッチの技術面での基準を作成し、運用を促しています。この基準にはバッテリーの駆動時間や肌に触れる素材の有害物質の有無、人体がどれくらい電磁波のエネルギーを受けたかを知る指標・SARの設定などが盛り込まれています。

2019年には、この基準をもとに深圳市消費者委員会が国内で販売されているキッズ向けスマートウォッチ、10ブランドに対しテストを実施。基準に満たないものや、広告の表示と実際の性能に相違があるものを販売していた企業へ是正勧告を求めました。こうした安全基準への取り組みはまだ全国レベルには波及してはおらず、今後はより広範囲での運用が求められていくと思われます。

キッズ向けスマートウォッチの多くは中国で製造・販売されていますが、今後国内市場が飽和状態となると海外へ積極的に販路を拡大する動きが始まることが予測されます。とはいえ、筆者の感覚ではありますが、昨年中国のいくつかの都市を訪れた際に深圳ほどの普及は見られなかったため、まだ中国国内市場の伸びしろはあるのではないかと考えています。現状、日本ではオモチャのイメージが強いスマートウォッチですが、隣国中国の「多機能すぎるキッズスマートウォッチ」の進化を観察していくのも面白いのではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です