中国2大家電量販店の国美と蘇寧、家電だけを売る時代はもう終わり?

中国人旅行者が日本の家電量販店で買い物をしている姿を見たことがある方も多いと思います。「では中国には家電量販店はないのか」と疑問を抱く方もいるかと思いますが、もちろん中国にも家電量販店はあります。そして、その二大巨頭が国美と蘇寧という企業です。今回は意外と知らない中国の家電量販店について、その成り立ちと現状を見てみましょう。

国美電器

国美電器(以下、国美)は1987年に北京で創業した家電量販店。1号店は100平米にも満たない小さい店舗でしたが、1993年より陳列方法やアフターサービスなどを統一し、中国における家電量販チェーンのモデルとなりました。2006年には国内の上海永楽生活家電を、2007年には北京大中電器を買収し、当時の中国国内での店舗数トップになりました。その後、2011年には会社をホールディングス化し、現在は小売・オンライン・スマート家電開発・金融・不動産・投資の6つに事業を手掛けています。

蘇寧易購

蘇寧易購(以下、蘇寧)は1993年に江蘇省の南京で創業しました。開業当初はエアコン販売の専門店としてスタート。きめ細やかなアフターサービスを武器に、徐々に全国に流通網を張り巡らせ、チェーン店の拡大を行いました。2004年には深圳証券取引所に上場。その後、2009年には日本の家電量販店ラオックスを買収し、海外事業にも着手。2019年にはフランス大手スーパー・カルフールの中国事業を買収し、家電販売にとどまらない小売事業への進出を進めています。

90年前後に現れた家電量販店という存在

白物家電で有名なハイアールは1984年に創業、エアコンの製造・販売大手の格力は1991年に創業、同じく大手家電メーカー・美的は創業こそ1968年ですが、家電事業に本格的に着手したのは80年代。家電メーカーがいくつも創業し、市場への供給がなされ、また少しずつ中国人の家庭にも家電が浸透してきたこの時期に販売網を広げていったのが国美と蘇寧をはじめとした家電量販店ということだったと推察されます。

2019年の営業成績と近年の取り組み

国美の2019年決算報告書によれば、営業売上は昨年同期比7.57%減の594.83億元(約8,981.9億円)で、純損益が25.89億元(約390.9億円)。PCやスマートフォン、白物家電などは大幅な売り上げアップは難しいフェーズに入っており、キッチンリフォームや家具の提供など、家のあらゆる面を作り上げる「“家・空間”戦略」に着手しているほか、ECプラットフォーム拼多多のような共同購入サービス「美店」も開始しました。2020年に入り、拼多多との提携も発表しており、現状の巻き返しが期待されます。

一方、蘇寧の2019年決算報告書によると、営業売上が前年同期比9.91%増の2,692億元(約4兆649.2億円)、純利益が前年比26.15%減の98.43億元(約1486.3億円)。家電だけにとどまらず、カルフールの中国事業を買収したほか、不動産複合事業を行う万達グループの持つ百貨店全37店舗を買収し、さらなるリテール網を巡らせています。オンラインでの販売にも力を入れており、ライブコマースで成長させる戦略を取っています。オンラインでの取引額は昨年比14.59%増の2,387億元(3兆6,043.7億円)と二桁の成長率を達成しています。

家電量販店から「総合小売事業」へ

80年代、90年代は一般家庭に家電が一気に広まった時期であり、その設置作業やアフターサービスで一気に流通網を拡大していった家電量販店。エアコンや冷蔵庫などの白物家電は今でも設置作業が伴いますが、PCやスマートフォンなどの電化製品は店員のきめ細やかなサービスが要らずとも使うことができる製品です。すると消費者はわざわざ店に出向いて店員の説明に熱心に耳を傾ける必要がなくなり、オンラインで家電を買うことに抵抗がなくなったと考えられます。こうした状況はもちろん、TmallやJD.comをはじめとするECの発達により、家電量販店の存在意義が相対的に弱まっているのではないかと思います。

近年ではスマート家電が台頭し、これまでのメーカーだけではなく、シャオミ(Xiaomi)などをはじめた別業種の企業による参入がある中で、量販店は家電にとどまらないリテール戦略が必要となってきています。また、大都市よりも伸びしろが期待できる地方都市への進出を今後さらに加速させていく公算が大きいといえます。「総合小売事業」へ変化を遂げつつある中国の二大家電量販・国美と蘇寧、今後の動きを観察していくと、中国の小売業界の大枠が掴めるかもしれません。

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