5G対応機種も続々、テンセントが関心を向ける「ゲーミングスマホ」とは

高性能なカメラや無線充電など、さまざまな機能を実装したスマートフォンが開発される中、ゲームを遊ぶための機能を充実させた「ゲーミングスマホ」も無視できない存在となりつつあります。また、大手IT会社の騰訊(テンセント)もゲーミングスマホを開発するメーカーとの提携に乗り出しています。今回は、中国国内におけるゲーミングスマホ市場について、関連した事例を中心に、その今後について考えてみたいと思います。

快適なプレイに特化したゲーミングスマホ

「ゲーミングスマホ」とは、モバイルゲームの快適なプレイ体験に重きを置いたスマートフォンのことを指します。主にスマートフォンメーカーやPCメーカーが参入しています。具体的には、米・カリフォルニアのRazer、香港のLenovo、台湾のASUS、中国東莞市に本社を構えるvivoなどが製品を発売しています。

高性能なSoC(System on a Chip)、大容量のバッテリー、動きを滑らかに見せる高い数値のリフレッシュレートなど、これら特徴を持つゲーミングスマホ。2020年6月時点では、すでに5G通信に対応した端末がいくつも発表されており、ますますのハイスペック化が進んでいます。

eスポーツイベントでの活用例

ゲーミングスマホは、eスポーツイベントの場にも浸透しつつあります。まずは、『王者栄耀』のプロリーグであるKPL(King Pro League)。vivoは例年KPLのスポンサーをつとめており、大会指定スマートフォンを提供しています。2020年はvivoのiQOO3が大会指定スマートフォンに選ばれています。このほか、テンセントが所有する複数のゲームタイトルを競技とするTGA(Tencent Global eSports Arena)では、通信端末メーカーZTEから派生したブランド「努比亚(nubia)」のスマートフォン「紅魔」を2018年大会の指定としていました。

テンセント以外の例を見てみると、網易(ネットイース)のeスポーツイベント・NeXTがHUAWEIのHonar X10を指定スマートフォンとしています。現状、「大会指定スマートフォン」というもの自体、モバイルeスポーツのイベントにスポンサーがつく中国ならではの慣習といえそうです。ただし、この慣習はゲーミングスマホの市場があることの証左となりうるため、無視できないポイントです。

テンセントとゲーミングスマホの関係

2019年6月、テンセントはPC・スマホメーカーのASUSとのパートナーシップ締結を発表し、同年7月に「ROG Phone II」の発売を発表。ソフト面で『王者栄耀(Arena of Valor)』という圧倒的なタイトルを保有するテンセントが、ハードウェアにも“触手”を伸ばしたことで話題となりました。

また、今年に入りテンセントは、小米(シャオミ)傘下のスマホブランドBlack Sharkとパートナーシップを結び、同社のゲーミングスマホ「Black Shark 3」を発売しました。この製品はすでに5G通信に対応しており、テンセントが来たるモバイルeスポーツ市場を見据えていることがうかがえます。

5G通信はモバイルeスポーツの起爆剤となるか

モバイルゲームは成熟期に入ったはずなのに、なぜeスポーツとして盛り上がらないのか。これは通信関係が一つ大きな要因であるといえます。モバイルeスポーツは無線通信で行われるため、有線と比較すると、ラグや通信の問題が発生しやすい状況にあり、競技の公平性やイベント進行に影響を及ぼしているという事実がありました。

今後、「超高速」「低遅延」「同時他接続」を特徴とする5G通信サービスが開始されれば、上記に挙げた問題が解消され、「モバイルeスポーツが活気づくのでは?」と期待されています。こうした状況を考慮すれば、ゲームパブリッシャーであり、eスポーツ業界最大手のテンセントがハードウェアに関心を持つことはうなずけるはずです。

ハードウェアだけを見れば、技術の転換期に普及率がグッと伸びるケースが見られます。しかし、ゲーミングスマホはあくまでゲームありきのハード、魅力的なコンテンツがなければ普及はあり得ません。良質なモバイルゲームが市場に投入されてはじめて、5G通信に対応したゲーミングスマホが普及していくものと筆者は考えています。そのため今後は、これまで以上にソフトを扱うゲームパブリッシャーとハードを製造するスマホメーカーの距離が近づいていくのかもしれません。

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