【中国ニュース読み解き】大学世界ランキングの躍進と静かで地味な卒業の日

毎年行われている世界の大学ランキングが今年も発表されましたが、年々、中国の大学が存在感を強めています。一部では研究論文の件数で世界を圧倒しており、その優秀な頭脳を輩出し続けている中国の大学には、世界中の若者から関心が集まっていますが、その機運がより一層高まりそうな雰囲気です。

翻って今年の中国国内の大学はといえば、通常とは異なる風景に戸惑いの表情が浮かんでいる様子。

今回はそんな中国の大学模様を紹介します。

清華大、イェール大を上回る

まず中国メディア『光明網』6月11日付では、「最近QS世界大学排名发布:清华创最高名次超过耶鲁(クレクアレリ社世界大学ランキング発表:清華大学がイェール大学を上回り国内最高位)」と報じ、世界の大学ランキングにおいて中国国内大学のランクが向上していることを紹介しています。

同記事で紹介されているのは、イギリスの高等教育評価機関クレクアレリ社(Quacquarelli Symonds)による「QS世界大学ランキング2021年版」。

上位100位内にはアジアの大学が24校ランクインしていますが、中国トップクラスの大学である清華大学が15位と前年からランクを1つ上げ、また復旦大学も34位で6つ上げました。

また100位以下ながら武漢大学、ハルピン工業大学、同済大学などもランクを上げていることがわかります。

こうした中国の大学は、豊富な資金力を生かして、日本でも数少ない研究機器などを幅広く導入すると同時に、世界から優秀な研究者を誘致するなど、積極的な強化を図っています。

これは絶えず資金難にあえぐ研究者にとっては非常に魅力的な話であり、また学生にとってもより優れた知識を得られるという相乗効果を生んでいますが、引き抜かれる側の海外の大学では研究者の流出といった悩みを抱え、国単位での対策が必要ともいわれています。

ただ、こうした動きは理系に限られており、文系(文学、史学、哲学)においては逆に中国国内でも資金が縮小しているといった情報もあり、学部間の不均衡が今後問題化するかもしれません。

世界的に存在感が増す一方で、今年は例年と違うキャンパス風景への戸惑いも報じられています。同じ日の『光明網』では「一场特殊的毕业之约:未来可期,一起加油!(特別な卒業に誓う:未来は明るい、みんな頑張ろう!)」との記事を掲載。

中国の大学は6月が卒業シーズン。例年ならば大学を卒業し社会へと旅立つ時期ですが、今年はアフターコロナとはいいながらも、感染拡大第2波の影響で物々しい雰囲気の中での卒業シーズンとなっているのです。

特に1月下旬の春節(旧正月)に帰省していた学生たちは、5月になってようやく外出規制が緩和され、半年ぶりにキャンパスへ戻ったという学生も少なくありません。

学校内や学生寮に入る際などにはマスク着用はもちろんのこと、検温やスマホシステムによる未感染の確認など、新たな感染防止策が徹底されています。

卒業生にとっては、学生生活最後の思い出ではなく新型コロナウイルスの印象が深く残った“旅立ちの日”になってしまったようです。

こうした経験をした大学生が、高等教育を通じて身に付けた知識を感染症予防など人類の幸福のために役立てていってもらえることを願ってやみません。
【白圭HAKUKEI】

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