【中国ニュース読み解き】調味料大手VSネット大手 トラブルの帰結は意外なところに?

中国は日本以上のネット社会。生活だけではなくほぼすべての企業のプロモーションがインターネット、SNS上で行われています。

その中で、ある大手企業同士のトラブルが中国のメディア、マーケティング業界で大きな話題となりました。今回はその事件の経緯を整理してみたいと思います。

有名企業2社が裁判!ついに見えた真実は?

グルメ大国・中国では数多くの食材、調味料がありますが、その中で根強い支持をうけ、今では日本を含めた海外に向けて輸出もされているのが“食べるラー油”の「老干媽(ラオガンマー)」です。

もともとは貴州省の女性が生計のために始めた食堂で、麺に絡める自家製ソースを提供していたのが始まり。

ラオガンマー
(参考)日本にも輸入されている老干媽

その美味しさが評判を呼び、今や中国調味料業界を代表する巨大企業へと成長したのですが、同社が中国インターネット企業トップ3の一角・テンセントから訴えられるというニュースを2020年6月30日付の『中国新聞網』が「腾讯把老干妈告了,却被告知遇到了个假的老干妈?(テンセントが老干媽を告訴!しかし訴状が届いたのはニセ老干媽?)」との記事で伝えたほか、複数のメディアが同様のニュースを報じました。

テンセントが訴えている内容とは次の通り。

同社は老干媽と2019年3月に広告に関する事業提携を締結し、同社のイベントで老干媽のPR展開を実施したにもかかわらず、対価が支払われておらず、よってPRの報酬分である1600万元(約2億4300万円)余りの差し押さえを求める、というものです。
※1元=15.2円で計算

結果としては、裁判所がテンセント側の訴えを全面的に認め、老干媽側の資産の一部凍結を言い渡しました。

この判決を受けた老干媽の動向が注目されていた中、事態は意外な展開を迎えます。

老干媽は「テンセントと事業提携を結んだ事実はない」とし、かつ「テンセント側が詐欺被害に遭っている」と主張。同時に本案件に関して「警察に被害届を提出した」と発表しました。

それからまた数日後、驚きの続報がネットをにぎわせます。

「老干媽の社印を偽造し、テンセントを欺き虚偽の提携を結んだ」との疑いで男女3人が逮捕されたと、7月1日付『第一財経』が「老干妈上了两天热搜,腾讯却是被3个“老千妈”骗了(老干媽が2日間人気検索ワード。テンセントが騙されたのは3人のニセ老干媽だった)」との記事で伝えたのです。

3人が老干媽社内の人間になりすました狙いと見られるのが「特別ゲームチケット」。テンセント主催のゲームイベントの協賛会社に配られるチケットを老干媽の名を語り詐取して、ネット上で高額転売することが目的だったようです。

スピード解決で一件落着と言いたいところですが、でもテンセントほどの巨大IT企業がなぜプロ犯罪組織でもない一般人にだまされたのかという謎が残ります。

さっそく答えを明かしてしまうと「厳しいチェックができていなかった」ということ。

中国ビジネスではWebプロモーションが不可欠なため、どうしても巨大なプラットフォームを持った大企業に広告案件が集まりやすく、一件一件を精査しきれずこのようなことが起きてしまったようです。

一件の詐欺事件が起きた背景に中国広告市場の特殊な事情が見えましたが、この辺の事情はまたの機会に詳しくご紹介できればと思います。
【白圭HAKUKEI】

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