家にいながら旅行気分!中国で話題となった「クラウド観光」って?

新型コロナウイルスの流行により、一時は厳しい外出制限がなされていた中国。最近では国内旅行が解禁され、観光を楽しむ人が徐々に増えているようですが、外出制限中には多くの人が家で時間を持て余していました。そんなときに新たな楽しみ方をもたらしたのが、「クラウド観光(中国語:云旅游)」。今回は中国で話題となったクラウド観光について、各サービスの詳細や最新動向を含めてご紹介します。

中国で話題のクラウド観光とは?

クラウド観光とは、仮想現実(VR)やライブ配信、音声ガイドなどのオンラインサービスを通じて、自宅にいながらも楽しめる観光のことを指します。中国文化観光部の統計によると、2020年5月1日~5日のメーデー連休中、中国国内の観光消費額は昨年比約6割減の475.6億元(7,266億円)と大幅な落ち込みを見せた一方で、クラウド観光への注目は大きかったようです。現地旅行メディア・新旅界によれば、中国版Twitterの微博(Weibo)では、2020年3月8日までに「#在家云旅行(家でクラウド観光)」というキーワードの閲覧数が7.3億回を記録しました。
1元=15.27円で計算

二大ショートムービーサービス、TikTokとKwaiを利用したクラウド観光

多くの観光地では、Bytedance社が運営する「TikTok(中国名:抖音)」や「Kwai(中国名:快手)」などのショートムービーサービスを利用して、ライブ配信イベントを展開。視聴回数は数千回から、多いもので数億回にもなったとか。個人のライブ配信だけでなく、観光地の公式サイトなどでもライブ形式で動画が配信されました。

筆者の友人の中には、TikTokで武漢大学の有名な桜を鑑賞したという人もいました。

また、Kwaiで「云旅游」と検索すると、動画がたくさん見られます。なかには、村長自らが動画に出演しているものまでありました。

各大手旅行サイトも次々とサービスを発表

TikTokやKwaiなどで観光地のライブ配信がはじまると、大手の各旅行サイトもクラウド観光に次々と参入。中国・新京报によると、大手旅行サイト「携程(トリップドットコム)」はアプリ上で、全世界48カ国、832都市を含む3,000以上もの観光地の音声ガイド商品を無料で公開。現在は公開終了となったようですが、多くの観光地を訪れた気分になることができると、話題を呼びました。

また、中国最大級の旅行口コミサイト「馬蜂窩(マーフォンウォ)」は、Kwaiと共同で世界各地の博物館や美術館をライブで観て回るというイベントを開催。フランスのルーヴル美術館やアメリカのメトロポリタン美術館などの有名美術館から、デンマークのアンデルセン博物館といった特色あるところまで、様々な場所が公開されました。

また、中国国内の有名観光スポットでも、クラウド観光が脚光を浴びました。敦煌研究院が中国IT大手の騰訊(テンセント)と共同で発表した「云游敦煌(敦煌クラウド観光)」は、WeChatのミニプログラムを活用し、自宅から簡単に世界遺産の仏教遺跡「莫高窟(ばっこうくつ)」を鑑賞できるというもので、現地メディア・騰訊科技の報道によると公開からわずか2カ月で1,200万人以上が利用したといいます。WeChatのミニプログラムで「云游敦煌」を検索すると、日本からでもシルクロードを想わせる音楽と莫高窟の壁画を堪能できます。

特産品のライブ販売を行うなど、変化するクラウド観光

にわかに注目を浴びたクラウド観光は、観光地を楽しむというサービスから出発し、現地の特産物などのライブ販売を行う、「観光促進」と「商品販売」という2つの経済効果を狙う取り組みに発展しています。ライブ配信者がアリババの運営する旅行サイト「飛猪(フリギー)」で観光地を紹介するかたわら、ECサイト「淘宝(タオバオ)」で観光地の特産品などを販売するライブ配信するケースが現地旅行メディアの環球旅訊で報じられていました。

中国EC商戦の一つである「618」セールをきっかけとしてライブ販売を行うところが増え、新しい販売スタイルが展開されています。クラウド観光の延長線上で、多くの人たちに商品を買ってもらい、関連産業の経済復興も行っていこうというフェーズに入りつつあるようです。

おわりに

クラウド観光は家にいながら各地の観光スポットを覗き見でき、気軽に楽しめるところがポイントだと思います。5G通信技術が普及すれば、さらに進化を遂げるであろうこのクラウド観光。今後どのように発展していくのか、テクノロジーの面だけでなく消費動向を観察する上でも注目のテーマといえそうです。
【ライター:小静】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です