2020/08/29 デジタル&IT

Bytedanceの広告プラットフォーム「OceanEngine」が抱える課題と壁

写真:PIXTA

日本ではTikTokやBuzzVideoなどで知られるBytedance(以下、バイトダンス)。近年は様々な国でサービスを展開し、存在感を強めています。ショートムービープラットフォームをはじめ、サービスの多くはユーザ課金を行っておらず、バイトダンスにとって広告収入は重要な役割を担っているといえます。

今回はバイトダンスが提供する広告サービスであるOceanEngine(以下、オーシャンエンジン)について見ていきたいと思います。
 

バイトダンスの広範なサービス

はじめにバイトダンスのサービスについて簡単に確認しておきます。日本ではTikTokが有名なバイトダンスですが、中国国内ではこのほかにも多くのサービスを展開しています。ニュースサイトの「今日頭条」、動画サービスの「西瓜視頻」、画像・動画加工アプリの「FaceU激萌」、自動車情報メディアの「懂車帝」などが挙げられます。

マーケティングリソースを提供するオーシャンエンジン

オーシャンエンジンとは、広告主に対してオンライン広告に関するソリューションやリソースを提供するサービスプラットフォームです。広告の配信先は上記に挙げたようなバイトダンス傘下のサービスです。具体的には、インフルエンサーと広告主を結びつけるマッチングや、自動掲載サービス、ビッグデータによって広告の最適化を図るクラウドDMP(データマネジメントプラットフォーム)などがラインナップされています。

オーシャンエンジン内のサービス「巨量創意」では、提供された動画や画像、音楽などの素材を自社の広告素材と組み合わせることで簡単に広告を作ることができる広告制作補助ツールの提供を行っています。また、同じくオーシャンエンジン内の「巨量星図」は、インフルエンサーと広告主を結びつけるプラットフォームで、TikTokや西瓜視頻などのインフルエンサーが累計12万人登録されています。

課題は質の担保か

2020年7月、現地の金融メディア財聯社は、巨量星図が「繁星プロジェクト」が始動したと報道。このプロジェクトは10〜100万人のフォロワーを抱える中規模インフルエンサーを対象に、案件の安定的な提供やトレーニングの実施など支援策を打ち出すもので、インフルエンサーの収入とコンテンツのレベルを向上させることを目指しているようです。
 
この背景には急速に成長した広告市場ならではの問題点があると考えられます。中国では、動画ビジネスの到来と同時に、MCN(マルチチャンネルネットワーク)の大量参入が起こり、インフルエンサーによる広告が急増しました。これにより、一部広告の質の低下が叫ばれています。今後も、広告市場がさらに拡大していくには広告の質を担保することが不可欠。それには、プラットフォーム側の努力が一層求められる時期にきているといえます。

今後は広告の海外展開、しかし逆風も

これまでバイトダンスが中国国内で展開していた広告関連サービスを海外でも行っていく動きも見られています。2020年7月、バイトダンスは世界中のインフルエンサーと広告主を直に結びつけるプラットフォーム「TikTok Creator Marketplace(TCM)」をローンチ。自社サービスを海外に宣伝する手立てとして期待されています。

しかしながら、現在バイトダンスの看板アプリであるTikTokはアメリカやインドで逆風が吹く状況。すでに全世界に広がるバイトダンスのグローバルネットネットワークですが、経済力のあるアメリカや人口の多いインドの市場を失うことは、大きな痛手といえます。同社の広告事業はTikTokなどのサービスありきのものであるため、アプリが海外市場でどのように扱われるのかは引き続き注視しておく必要があるでしょう。

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