2020/09/08 ビジネス

【中国ニュース読み解き】中国「食の浪費防止キャンペーン」長年の戦いに結末は訪れるのか

すでに日本でも報道されている中国における「食の浪費防止」キャンペーン。なんといっても習近平国家主席による肝いりキャンペーンだけあって、中国国内でも力の入りようが違います。

ただこの取り組みに対して、消費者は理解や支持をしながらも、抜けきれない中国の習慣もあります。

そんな模様を中国のメディアが報じているので見てみましょう。

転換が難しい、伝統的な「豊かさ」の価値観



「食の浪費を戒める」。
そんな取り組みが中国で行なわれています。

事の発端は習近平国家主席による演説で指摘された、食の浪費問題。レストランや家庭でも、捨てられる生ごみの量は非常に多く、特に生活が豊かになった都市部で顕著に問われています。

そんな状況を危惧して出されたこの発表をきっかけに、中国の動画サイトでは「大食い動画」が批判の対象になり、軒並み削除されるなど、大々的なキャンペーンに発展しています。

しかし、急にその習慣を変えるのも難しい…。
そんな様子を2020年8月27日付の『天津日報』では「直击天津餐饮浪费现象:整条鱼只动几筷子,“光盘”顾客不到一半……(天津の飲食浪費現象を直撃:魚料理に少し箸をつけただけ、“食べ残しなし”の客は半分以下…)」と報じています。

記事では天津市の都市清掃員に密着し、レストランで出される大量の生ごみを回収。「毎日300トンほどの生ごみが出されている」とその浪費の状況を語っています。

特に食べ放題系のお店では過剰オーダーが多いらしく、そこには消費者の「元を取ろう」という意識があることを指摘、食べ残しの多いテーブルの写真などをアップしながら、この浪費を批判している内容となっています。

そもそも「スケールの大きさ=豊かさ」と感じる価値観が一般的。質ももちろんながら、見た目のボリュームによって充実感を得ることが多い習慣があります。

そのため、食においても「テーブルいっぱいの料理」がすなわち「豊かな生活」と考える傾向があります。

多くのメディアではその点をクローズアップして紹介しますが、実はそうした習慣の変革は、中国国内で早くから唱えられてきました。上海などでは15年ほど前から「打包(持ち帰り)」が定着しており、全国の大都市でも食べ残した料理を持ち帰る習慣が根付いています。レストラン側も、持ち帰りを希望する顧客のために容器を用意している(一部有料の店舗も)のが普通になっています。

ただ、それが全国的に普及しているとは言い切れず、地方都市ではやはり昔からの「有り余る豊かさ」をベースとした生活を送っているようで、今回はそうした地方都市部への意識改革を目指したものといえるでしょう。

また、同時に考えられるのは「食料不足の危険性」。人口も増えながら、気候や歴史的要因で耕作面積にも限りがある中国では、食糧不足の危険性は建国直後から言われてきていました。

50年代には主食たる穀物を使った白酒ではなく、果物を使ったワインの醸造を増やすといった国策もあったほど。事実はうかがい知ることはできませんが、人工肉などの生産にも前向きになっているなど、食に関する話題が続く中国だけあって、いろいろな考え方ができそうです。

何はともあれ、浪費を防ぐのは悪い事ではありません。これを機に、食の習慣も時代に合ったものへと変わってくれることを期待したいと思います。

白圭HAKUKEI

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