2020/09/23 デジタル&IT

【5G時代へ】超高精細映像の活用シーン(3)

写真:Pixabay

はじめに



今春、日本でも5Gサービスの提供が始まりました。とはいえ、接続可能エリアがごく一部に限られているため、多くの方にとってまだまだ実感が薄いかもしれません。 しかし、中国ではすでに5Gを様々な分野に活用する試みが多くなされ、この点で日本をリードしています。

このWeb連載では、中国通信技術研究の権威が、5Gの誕生、仕組み、社会への影響を解説した書籍『5G時代』(中信出版日本)の中からポイントとなる部分をピックアップしてご紹介していきます。



【応用事例.3】エッジコンピューティングにもとづく「5G+4K/8K」伝送の応用



a.応用分野

5Gの広帯域・低遅延というテクノロジーの特性により、映像の収録はもはやボトルネックではなくなった。スポーツ試合やイベント、ショーなどの現場に、超高精細カメラを大量に設置し、しかもケーブルに撮影範囲を制約されることもない。超高精細映像のマルチチャネル信号は無線通信による同時伝送を実現し、没入感のある360度映像の生中継、パノラマVR、視聴者とのインタラクティブコミュニケーションなどのさまざまな事業の展開を可能にした。ユーザーに応じて素晴らしい臨場感を提供し、映像産業の業務効率を最大限に上昇させる。

競技場のさまざまな位置に360度のパノラマカメラを設置する一方で、スポーツで使用する用具などや選手にもセンサーやCCDカメラを装着する。固定の超高精細カメラと連係し、5Gネットワークを介して、高精細映像信号をリアルタイムで伝送すれば、観客、フィールド、選手、審判、そして俯瞰映像など、多視点からの試合映像を中継できる。また、パノラマ映像やVR の没入体験も可能になる。

b.テクノロジー解析

5Gの広帯域のテクノロジーにより通信問題は解決できるが、大容量データをリアルタイムでストレージ転送する問題を解決するには、エッジコンピューティングの力を必要とする。また、パノラマの画角切り替えとVR のレンダリングはいずれも計算量がかなり大きく、端末に置いた場合は端末コストが高くなり、クラウドに置いた場合は遅延が増大する。したがって、最適なソリューションはエッジコンピューティングを導入することだ。
レンダリング=デジタルデータを視覚化、音声化すること)

録画・制作の作業現場にMECサーバー(モバイルエッジコンピューティングサーバー)を配置し、伝送経路を分散させ、データの伝送や処理の負荷を軽減する。これにより高速かつ低遅延でコンテンツデリバリーを行うことができる。これは、ユーザー体験を最大限に向上させるだけでなく、移動体通信ネットワークの伝送帯域幅の節約にもなる。

エッジサーバーは超高精細カメラとの物理的距離を縮め、伝送効率を向上させる。各エッジノードにアプリケーションサーバーやキャッシュサーバーを配置することで、高性能コンピューティング(High-performance Computing/HPC)や、大容量ストレージを実現する。また、映像のレンダリングやリプレイに対し、低遅延やクオリティの高さを求めるニーズを満たす。

c.実例

韓国ピョンチャン冬季オリンピックでは、一部の競技場にエッジサーバーを配置し、4K超高精細の没入型VRと自由視点リプレイ映像を提供した。映像の視聴時にさまざまな画角を選べるだけではなく、自由に巻き戻してゲームの素晴らしい瞬間をリプレイできる。

VRでの視聴の場合、カメラが撮影した大容量の映像データは、ソウル市の研究開発センターのコアネットワークには伝送されず、競技場に近いエッジサーバーに伝送される。そこから、現場のVRエリアにいるユーザーのヘッドマウントディスプレイへと伝送するのだ。伝送の物理的距離が近づくことで、リアルタイムな観戦体験を保証できる。

d.将来の応用

多視点リプレイ、パノラマ映像、没入型VR は、超高精細映像の将来的な発展方向に違いない。映像符号化と5G無線通信、いずれのテクノロジーも超高精細映像の産業化への準備は整い、そこへエッジコンピューティングが登場した。「鬼に金棒」といえるこの状況下、将来の新ビジネスへの想像が膨らむだろう。

インダストリアル・インターネット分野は、すでにエッジコンピューティングを標準システムに導入するとともに、VR/ARの応用にも着目している。2019年9月25日、北京市にある中国情報通信研究院にて、インダストリアル・インターネット産業連盟(Alliance of Industrial Internet/AII)VR/ AR特設チームが発足した。エッジコンピューティングの助力により、ニューメディア融合プラットフォーム、裸眼8K 3D、没入型MRなど、新たな5Gの活用シーンを含むさまざまな事業がいっそう充実する。


次回は、「IoTのアーキテクチャ」

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