2020/09/22 ビジネス

【中国ニュース読み解き】発展する中国の陰で悩む老舗企業

写真:Pixabay

中国の数千年に及ぶ歴史の中では中華人民共和国の時代はたった70年余り。しかしその70数年の間にも多くの紆余曲折がありました。

そのなかで影響を受けながら続いてきたのが「老字号(ラオズーハオ)」と呼ばれる老舗企業です。古くは建国以前からの歴史を有する企業も存在していますが、現在、そうした老舗企業は非常に難しい問題を抱えています。

今回は中国の報道から、中国老舗企業の抱える課題を見ていきましょう。

日本と共通する「老舗」の問題点



「老字号」の「字号」とは日本でいう「屋号」のこと。老字号とは読んで字のごとく長く続いている企業や店舗のことです。

その老舗企業の苦境を、2020年9月14日付のニュースメディア『新京報』では「上市,跨界,争议,亏损,老字号们的艰难生存之路」(上場、越境、争議、赤字、老舗企業の生き残りの苦闘)と報じています。

中華人民共和国成立の直後、政府が認める老舗企業「中華老字号」は16,000社程度ありました。しかしその後、社会や政治環境の変化によって減少、1990年に政府が確認した際に「中華老字号」は1,600社程度しか残っていませんでした。

そして2006年の「中華老字号復興」政策の施行を経た2011年の確認では1128社が「中華老字号」として認められました。その中には漢方薬の「同仁堂」や栄養ドリンクで有名な「王老吉」、ミルクキャンディーの「大白兎」、北京ダック専門店「全聚徳」といったメジャーな企業が並んでいます。

しかしその企業の内、安定した事業を展開し発展しているのは1割程度。4割がいわゆる「自転車操業」状態。そして5割、つまり半数が「赤字経営」というのです。

その原因を見ると「商品の刷新ができておらず、若い世代を惹きつけられていない」、「組織・体制が古く、市場に対応できていない」、「インターネットに対応できていない」など、日本の老舗企業とほぼ同様の悩みを抱えていることがわかります。

つまりは技術、クリエイティブの面で全く刷新ができていないのです。

老字号ではありませんが、あるゼリー菓子を生産している会社では、20年以上生産ラインを刷新していない、つまり新しい商品を生み出していないといった点が指摘されるケースも存在しています。

それに反して、現代の中国社会は次々と新商品が生み出され、SNSを通じてその情報が拡散されている時代。
特に近年、コスメにおける「完美日記(Perfect Diary)」や食品における「三只松鼠」、ドリンクにおける「元気森林」といった新鋭企業が、創業数年でスターダムにのし上がっており、そうした流れに乗れない老舗企業はさらに市場の隅に追いやられています。

白酒や医薬といった、国が直接管理する領域ではその保護が働きますが、それ以外の業界では新鋭企業に押され続けているといってもいいでしょう。

長く伝統のある企業が消えていくのは悲しいことです。しかし市場、ひいては消費者ニーズに沿ってこその企業であり、それができない企業が消えていくのは市場経済においては正常なことだといえます。

日本の老舗企業ももちろんですが、中国企業も市場に沿った変化を成し遂げてもらいたいものです。

白圭HAKUKEI

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