2020/10/02 デジタル&IT

【5G時代へ】4Gの限界を超えるデータ量

写真:Pixabay

はじめに


今春、日本でも5Gサービスの提供が始まりました。とはいえ、接続可能エリアがごく一部に限られているため、多くの方にとってまだまだ実感が薄いかもしれません。 しかし、中国ではすでに5Gを様々な分野に活用する試みが多くなされ、この点で日本をリードしています。

このWeb連載では、中国通信技術研究の権威が、5Gの誕生、仕組み、社会への影響を解説した書籍『5G時代』(中信出版日本)の中からポイントとなる部分をピックアップしてご紹介していきます。



4Gの性能を上回るほどの負荷



IoT(Internet of Things/モノのインターネット)の発展により、通信端末の数量と密度は4Gネットワークで対応できる範囲をはるかに超えた。また、オンライン診療や工業系制御システムといった分野で求められる低遅延も4Gの設計の限界に達した。そんなとき、時機を見計らったかのように登場したのが5Gである。

テクノロジーの進歩は5Gを普及させる重要な推進力であり、そのテクノロジーを根本的に牽引するのが巨大な市場のニーズである。

スウェーデンのエリクソン(Ericsson)が発表した「2019年6月モバイル市場レポート」によると、4Gネットワークはすでに世界の大部分の国や地域をカバーしている。2019年第1四半期の世界の移動体通信の加入契約者数は79億人に達し、そのうち、LTEユーザーは37億人と全体の47%を占めた。また、LTEネットワーク構築の勢いもとどまるところを知らなかった。2018年末のLTE ユーザーの通信可能範囲(網羅率)は約75%、2024年には90%に達する見込みだ。IoT機器の接続数については、2018年は108億台、2024年には222億台を超えるだろうと見られている。これでは既存のLTEシステムの負荷能力を完全に超えてしまう。

この状況に対する比較的容易な解決法として、4Gの通信基地局の増設が挙げられるが、それは新たに多くの問題をもたらすだろう。4Gの設計目標では、エネルギー消費やCO2排出量などの問題が考慮されていないからだ。さらにテクノロジーの選定、変調方式の設定、シングルキャリア周波数の帯域幅などの問題により、4Gネットワークの設計はすでに当初の理論限界に達しており、ネットワーク接続機器数もほぼ上限に達している。

3GPPの提示するLTEシステムはIoT機器を考慮し、IoTに特化した通信プロトコルを設計していたが、IoT自体のKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)は4Gの設計目標の中には存在していなかったのだ。

一方、リモート医療や工業系制御システムといった分野では、ネットワーク遅延に対する要求がますます厳しくなる。4Gの標準仕様の限界である10ms(ミリ秒)の遅延では、徐々に対応できなくなっていた。とりわけリモート医療のような細かい操作を必要とする現場では、ほんのわずかなタイムラグが深刻な医療事故を引き起こしかねない可能性がある。

このような4G の性能では対応しきれないプレッシャーが次第に高まる中、5Gが到来したのだ。

大量のIoT機器の接続問題を解決する目的で、mMTC(massive Machine Type of Communication/多数同時接続)が設計された。これは1㎢の範囲内で100万台の機器に同時接続できるというものである。1平方メートルはサッカーグラウンド140面分に相当する。つまり、サッカーグラウンド1面に7,000台以上の接続機器を置くようなものだ。今後予見されるビジネスシーンにとって、この数は十分といえるだろう。

これで多数同時接続の問題は解決したが、それにともない遅延の問題が出てくる。そこで、uRLLC(Ultra Reliable and Low Latency Communications/高信頼低遅延通信)が設定され、リモート医療、工業系制御システム、自動車車両など、モノに向けた通信のニーズに応えた。これらの活用シーンにおいて、制御面での遅延はわずか1msと人間の感じる限界を超越する。また、時速500kmの高速移動環境下での通信も可能にした。

人々の5G に対する要望と期待に応え、5Gの第1段階であるeMBB(Enhanced Mobile Broadband /高速大容量通信)が誕生し、まずは映像分野からデジタル経済を後押しした。


次回は、「日本における5G実用化実験」

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