2020/10/06 デジタル&IT

【5G時代へ】中国の5Gネットワーク建設

写真:Pixabay

はじめに



今春、日本でも5Gサービスの提供が始まりました。とはいえ、接続可能エリアがごく一部に限られているため、多くの方にとってまだまだ実感が薄いかもしれません。 しかし、中国ではすでに5Gを様々な分野に活用する試みが多くなされ、この点で日本をリードしています。

このWeb連載では、中国通信技術研究の権威が、5Gの誕生、仕組み、社会への影響を解説した書籍『5G時代』(中信出版日本)の中からポイントとなる部分をピックアップしてご紹介していきます。



大手通信キャリアによる5Gネットワークの共同建設



4Gが大きな成功を収め、5Gに対して期待が寄せられている。活用シーンの開発は5G商用の価値を実現する重要なプロセスとなる。現時点では超高精細(Ultra High Difinition/UHD)映像やロジスティクスオートメーション(物流の自動化)など、人々のニーズを開発の切り口としているが、長期的にみて適切な業種はまだ見つかっていない。

5Gのネットワーク構築の規模は巨大である。通信基地局の数は4Gの1.5~2倍、メンテナンスや最適化のコストもかなり高額になる。中国の広大な国土全域をカバーするには、少なくとも数兆元規模の投資が必要となるだろう。これはチャイナ・テレコム、チャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコムの大手通信キャリア3社にとって、大きなプレッシャーである。

2019年9月9日、チャイナ・テレコムとチャイナ・ユニコムは「5Gネットワーク共同構築・共同利用の枠組み提携合意書」に署名した。5Gネットワーク建設にあたり、「周波数とアクセスネットワークは共有し、コアネットワークは自社で構築する」という取り決めだ。両社は合意書にもとづき、中国全域において5Gアクセスネットワークを共同で建設する。共同建設・運用エリアでは、ネットワークの計画・構築、メンテナンスやサービスの基準の統一を確実に保証する。

合意書では、構築、投資、メンテナンス、ネットワークの運用コストなど、「両社のどちらが負担するのか」という基本原則を取り決めている。建設エリアを決め、担当エリア内のネットワーク構築事業に関しては、「それぞれで責任をもつ」という基本的な考え方も明確にしている。また、当該合意と同様の内容で第三者と提携する場合は、「相手方に対して不当な不利益を与えてはならない」という線引きを行った。両社のユーザーはそれぞれに帰属し、ブランディングや運用も独自に行う。

両社は15都市で5Gネットワーク構築を請け負う。4G通信基地局(屋内基地局を含む)のそれぞれの規模を参考に、構築エリアの配分を確定した。チャイナ・ユニコムとチャイナ・テレコムの構築比率はそれぞれ、北部5都市(北京市、天津市、鄭州市、青島市、石家荘市)で6:4、南部10都市(上海市、重慶市、広州市、深圳市、杭州市、南京市、蘇州市、長沙市、武漢市、成都市)で4:6とした。

また、両社は単独でも5Gネットワークを構築している。チャイナ・ユニコムは広東省9都市、浙江省5都市、前述の都市を除いた北部8省(河北省、河南省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区、山東省、山西省)のエリアで構築を請け負う。チャイナ・テレコムは広東省10都市、浙江省5都市、前述の都市を除いた南部17省のエリアで構築を請け負った。

中国の通信業界は、世界の中でも競争が最も激しい市場のひとつだ。市場の発展がもたらす恩恵にあずかり、中国の通信業界は世界最大の通信市場へと成長した。モバイルインターネット市場もまた、技術水準においても、市場規模においても、世界で最も飛躍的な発展を成し遂げた。


次回は、「エッジコンピューティング」

5G表紙
画像クリックするとAmazonの販売ページ(外部サイト)に遷移します

RECOMMENDEDおすすめの記事


関連する記事

ランキング