2020/10/09 デジタル&IT

【5G時代へ】クラウドネットワークとの融合

写真:Pixabay

はじめに


今春、日本でも5Gサービスの提供が始まりました。とはいえ、接続可能エリアがごく一部に限られているため、多くの方にとってまだまだ実感が薄いかもしれません。 しかし、中国ではすでに5Gを様々な分野に活用する試みが多くなされ、この点で日本をリードしています。

このWeb連載では、中国通信技術研究の権威が、5Gの誕生、仕組み、社会への影響を解説した書籍『5G時代』(中信出版日本)の中からポイントとなる部分をピックアップしてご紹介していきます。



連携する3つのクラウド


ここ10年間、ITインフラのクラウド化にはますます顕著な傾向がみられる。世界のIT支出は減少しているものの、逆にクラウドコンピューティングの収入は増加が続いている。これはIT産業のインフラ支出がより効果的な発展経路、つまりクラウドコンピューティングに向いていることを示す。

通信キャリアはITインフラのひとつとして、現在、この市場分割の危機に直面している。中国のクラウドコンピューティングは今、アリババグループ(Alibaba/阿里巴巴集団)、チャイナ・テレコム、チャイナ・ユニコムが主導する勢力構造を形成しており、5Gの到来は市場を再編するチャンスである。

通信キャリアの立場からすると、中国では接続端末が1,000億台を超えると見込まれる5G時代において、クラウド化したコアネットワークが必要なのは間違いない。しかし、どのように配置し、どのように区分するかが重要な問題なのだ。

通信キャリアは総じて、今後はSDN/NFVをベースとし、ネットワークを「3つの雲」に区分する必要があると考えている (図4-5)。

図4-5

ここでいう「3つの雲」とは、「アクセスクラウド」「コントロールクラウド」「転送クラウド」を指し、それぞれ「アクセスネットワークの通信可能範囲と容量の仮想化」「ネットワーク制御機能の仮想化」「制御とデータの完全分離」に対応する。

(1) アクセスクラウド

アクセスクラウドは、業務用途別に区分・識別し、フレキシブルな集中制御を通じ、マクロセル基地局とマイクロセル基地局(屋内分布システム)で通信可能範囲やアクセス量を分離させる。たとえば、ユーザーが強い信号を必要とする場合はマクロセル基地局にアクセスし、大容量データ通信を行いたい場合はマイクロ基地局にアクセスする。

(2) コントロールクラウド

コントロールクラウドは、一定エリア内のモビリティ管理、ポリシー管理、伝送経路管理、電波干渉管理などの問題を担当する。ユーザーの移動時、複数の基地局間でシームレスな切り替えと引き継ぎを実現し、ユーザー体験を向上させる。

(3) 転送クラウド

転送クラウドは、ユーザーのコントロールプレーン(C-plane、制御機能)とデータプレーン(D-plane、データ転送機能)の分離を担当する。モバイルインターネットのエッジノードのキャッシュメモリを実現することで、遅延を低減し、インターフェースのデータ通信量を抑え、ユーザー体験を改善する。

現時点のネットワーク構築とテクノロジーの確立度からみると、チャイナ・モバイルやチャイナ・ユニコムは、まずはコントロールクラウドを構築し、それからアクセスクラウドに着手し、転送クラウドは時間をかけて構築するという姿勢だ。


次回は、「AIと5G」

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