2020/10/13 デジタル&IT

【5G時代へ】5Gはビッグデータのために生まれた!

写真:Pixabay

はじめに


今春、日本でも5Gサービスの提供が始まりました。とはいえ、接続可能エリアがごく一部に限られているため、多くの方にとってまだまだ実感が薄いかもしれません。 しかし、中国ではすでに5Gを様々な分野に活用する試みが多くなされ、この点で日本をリードしています。

このWeb連載では、中国通信技術研究の権威が、5Gの誕生、仕組み、社会への影響を解説した書籍『5G時代』(中信出版日本)の中からポイントとなる部分をピックアップしてご紹介していきます。



5G時代のビッグデータ


ビッグデータは2005年のHadoop(分散処理フレームワーク)の誕生とともに芽を吹き、次第にテクノロジーとして認められ、各国の政府からも重視されるようになった。

中国ではすでに第12次5カ年計画(2011〜2015年)、第13次5カ年計画(2016〜2020年)にビッグデータが組み込まれ、産業においてももはや無視できない存在になりつつある。

5G時代は、ビッグデータを中心とする多分野にわたるテクノロジーの全面的な進歩に、多くのチャンスを提供した。「広帯域」はより細かい単位のデータの転送と処理をサポートし、「低遅延」は多様化したアルゴリズムモデルの実現を推進、「高信頼性」は難度の高い活用シーンを拡張する。5G時代の到来により、ビッグデータはさまざまなプラットフォームでデータの価値化を実現できるのだ。

①5Gの高速ネットワークによるデータ転送は、ビッグデータへ持続的に膨大な量のデータを供給する。5Gは大量のユーザーによる高密度のデータ転送に対応することができ、同面積の通信ネットワークの対応エリア内で同時接続できる端末数は、4G時代の100倍に達する。

②5Gはビッグデータの内容をより豊富に充実させ、データ処理のスマート化をサポートする。IoE(Internet of Everything /すべてのインターネット) に対応する5Gは、データソースをさらに多様化することができ、データの種類はいっそう豊富になる。たとえば、IoT、スマートホーム、ウェアラブルデバイス、IoV、スマート都市、スマートファクトリー、農業のIoT、リモート医療、ドローン(無人航空機)などだ。

さまざまな業界のさまざまな端末機器から、構造化あるいは非構造化データを容易に収集できるようになり、その上、アルゴリズムの実現と新テクノロジーの研究開発を促進する。データはすべて既知の世界から収集し、すなわち端末の範囲を超えない。したがって、必然的に未知の世界に対しては無知になる。

一般的に機械学習は既知の観測データからパターンを生み出し、そのパターンから問題を解く。より豊富な内容のビッグデータが手に入れば、機械学習やディープラーニングに代表されるデータ処理技術のスマート化の発展に役立つだろう。ひいては、スマート化したビッグデータが、既知・未知というボトルネックを突破する「ブラックスワン(Black Swan)が起こるかもしれない。

ブラックスワン(Black Swan) 「起こりえない」と思われていたことが急に生じること。一般に予測が困難な金融危機と自然災害に対して使われる。従来、白鳥は白い鳥だけと思われていたが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥が発見されたことに由来する。

③5Gはビッグデータの分析処理能力の向上を促進する。5Gのもつデータ転送速度とネットワークアーキテクチャ能力は著しく向上し、これはビッグデータの分析処理プラットフォームにとって非常に有利に働く。

ビッグデータの膨大なデータ演算量は単一プラットフォームでは支えきれない。そこで5Gネットワークの高速データ転送と低遅延を利用して、複数の演算装置と記憶装置をカスケード接続して並行して処理を行う。これにより、従来の機器やネットワーク接続では実現できなかったデータ処理アルゴリズムの実現と応用が促進され、ビッグデータの演算能力も向上する。

④5Gはビッグデータの応用の垂直化にプラスの役割を果たすことが挙げられる。ビッグデータの応用の垂直化は、ビッグデータ自体がその発展の速さに追いつけない部分があり、またAIの迅速な発展に不利に働くこともある。ビッグデータの垂直業界(垂直統合型業界)に対する専門性の要求は高く、そのニーズや現状を深く理解しなければアドバンテージを発揮できない。

一方、エキスパートシステムからスタートしたAIはすでに、業務の専門性や経験値こそが最大のボトルネックになると認識していた。そのような状況の中、5Gが垂直業界にチャンスを運んできたのだ。

5Gは垂直業界のデジタル化への転換を加速し、より広い通信可能範囲と安定したネットワーク接続を提供した。また、そのテクノロジーの融合特性により、広範な応用範囲と柔軟な適合性を備え、多業種・多分野において機能できる。したがって、垂直産業におけるビッグデータのデータ収集と処理能力を促進し、加えてAIの垂直産業での発展も推進する。

ビッグデータのテクノロジーの応用は目下、多方面において未だ十分に確立されていない。業界のエコシステムの構築も不十分で、今なお各方面で多くの課題を抱えている。しかしながら、5Gという新テクノロジーの助力を得て、各種制度が徐々に整備される状況のもと、ビッグデータは未来を大きく変えてくれるだろう。


(了)

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