2020/11/27 ビジネス

中国最大級の小売キャンペーン「W11」。その裏で注文キャンセルの嵐?

写真:PIXTA

今年も大きく盛り上がった中国EC最大級のキャンペーン「W11」。毎年11月11日アリババ系列の淘宝網(Taobao)や天猫(Tmall)、そのライバルの京東(JD.com)や拼多多(Pinduoduo)など、EC全体が激安キャンペーンを展開する超巨大商戦。
2020年も昨年を上回るオーダー金額となったW11でしたが、実はその陰ではメーカーにとっては容易ならざる事件が起こっていました。


数多くの割引システムで苦しめられる店舗


天猫(Tmall)が公式微博(ウェイボー)アカウントで公表した 今年のW11(11月11日、独身の日)における最終オーダー金額は4,982億元(注1)。日本円で約7.9兆円(1元=15.9円)。京東(JD.com)も公式ウェイボーで、オーダー金額が2,715億元(約4.3兆円)記録したことを発表しています(注2)。
(注1)http://weibointl.api.weibo.com/share/183405262.html
(注2)http://weibointl.api.weibo.com/share/183412405.html


W11に関しては、日本でも大きく報道され、例年の巨大な売上額がさらに増えたと思われています。
それは間違いないのですが、実はその陰で商品を販売するメーカーにとっては別の喜べない事態が発生しています。それは「キャンセル」「返金」対応です。

その対応に追われている様子が2020年11月16日付の中国メディア『中国商報』で「“双11”货还没发就已退款 这样的凑满减行为你觉得怎么样(W11セール商品発送前に返金、このような割引悪用をどう思いますか)」として報じられています。

そもそも 、中国の小売業界、特にECでは「7日間の無条件返品」が消費者の権利として認められています。

そのため、消費者が手に取って中身を確認しても満足いかない場合、購入を後悔した場合は返品が可能。しかも、アリババ系のECであればAlipayを活用することが多く、この場合は消費者側が「購入の最終承認」を行わないと店舗側は商品代金を手にすることができないシステムになっており、消費者は安心して購入できるようになっています。

しかし今年起こっているのは、メーカーが商品を発送してからの「返品・返金」ではなく、W11が過ぎた瞬間に起こる、まさに発送準備をしているさなかでの「キャンセル・返金」だったと記事は伝えているのです。

理由はいくつか考えられますが、記事ではセールを盛り上げる数々の割引システムだと指摘しています。詳しく説明すると、W11シーズンにはプラットフォーム側が「〇〇元購入ごとに〇元値引き」というサービスを多く展開します。その種類は極めて豊富で、かつ複数サービスの同時利用が可能。さらには「紅包」と呼ばれるラッキークーポンも併用されるため、その計算は非常に難解になっています。

しかも、その複雑さは年々レベルアップしており、2019年にはその計算方法を勉強する「天猫大学」なるものが開設されたこともあるほど。

記事によると、一部の消費者は割引の条件を満たすまで様々な商品を買い、決済額を確定させてから、11日を過ぎた時点で不要なものだけキャンセルする、という割引システムを悪用した買い物を行っていたとのこと。このキャンセル対応の多発によってメーカーは面倒な返金の手間を強いられ、配送作業も止める必要が生じ、それに大わらわということなのです。 
 
莫大な売上額ばかりが注目されますが、こうした返金額を差し引いてW11の純売上はどのくらいだったのか、というのはまさにブラックボックス。複雑化するキャンペーンが今回の大混乱にも関わらず、今後も続くのかもまた、闇の中です。

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