2020/12/16 ビジネス

中国で「ニンテンドースイッチ」発売から1年、これまでを振り返る

画像:CITIC PRESS Japan

2019年12月10日、Nintendo Switch(以下、スイッチ)がテンセントの代理販売により中国で販売が開始されました。発売から1年がたった今、発売当時の状況と、この1年について振り返っていきたいと思います。

パッケージ版ソフトなき、ひっそりとした発売

2019年8月にテンセントが国内代理販売を担い発売されることが決定したスイッチは、同年12月10日に中国市場で正式発売されました。発売日に公開されたプロモーション動画を見ると、スマートフォンやタブレット端末に夢中になる家族や恋人、友人たちがスイッチを一緒にプレイことにより団らんがもたらされるというもの。春節をひかえた12月ということもあり、家族や友人が集まるというコンセプトが強いものでした。

一般的に家庭用ゲームのハードが発売される際には、どのソフトがハード発売と同時に投入されるかが注目のポイントとなります。しかし、この時パッケージ版ソフトは発売されず、ダウンロード版の『スーパーマリオブラザーズ U デラックス』がニンテンドー e ショップで発売されただけというひっそりとしたスタートでした。

ただし、現地のゲームメディアA9VGの情報を見る限り、オンラインでの操作はできないものの、海外で発売されているソフトも中国版ニンテンドースイッチでプレイできるとされています。すでに並行輸入品としてパッケージ版のソフトが出回っているため、タイトルの少なさはハード販売の初動にさほど大きな影響は与えなかったのではと筆者は考えています。

この1年で発売されたタイトルは?

中国ではゲームを発売するにあたり、国家機関での審査が必要となります。この審査について、明確な基準は公開されておらず、また審査に必要な期間も不透明で、とりわけ外国企業のゲーム発売には時間を要するといわれています。

この1年で正式に中国市場で発売されたタイトルは『New スーパーマリオブラザーズ U デラックス』、『マリオカート8 デラックス』、『スーパーマリオ オデッセイ』、『リングフィット アドベンチャー』など12タイトルのみ。

日本でも品薄が続いている『リングフィット アドベンチャー』が9月に発売された点は注目を集めましたが、社会現象ともなった『あつまれ どうぶつの森』、スイッチの看板タイトルともいえる『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』も発売されていないところを見ると、ソフト発売のスピードは遅いといえます。

販売台数だけ見ればまずまずか

調査会社Niko Partnersによれば、2020年に中国で販売されたニンテンドースイッチは、130万台(並行輸入品を含む)と推計しています。130万台のうちどれだけ国内版ハードが販売されたのかは不透明であるため、中国の家庭用ゲーム市場を正確につかむのは依然難しい状況です。

任天堂は2020年3月期に、日本国内におけるスイッチの販売実績数量が521万台だったと公表しています。これに対して130万台という数字は、人口比から見ると少ないといわざるを得ませんが、家庭用ゲーム市場がほとんどないといわれていた中国としてはまずまずの1年だったといえるのではないでしょうか。

ユーザーとの接点を意識した試遊イベント

発売から1年を迎え、代理販売を行うテンセントはWeChatの公式アカウントでオフラインの試遊イベントを全国62カ所で開催したと公表しています。ローンチ時にはショッピングモールの真ん中に試遊ブースを設け、ユーザーがスイッチに触れる機会を積極的に作っていました。

中国では2000年から2015年まで家庭用ゲーム機の製造・販売が禁止されており、コントローラーに触れたこともないという人が多く存在します。こうした層へのアプローチは引き続き続いていくものと思われます。

2020年を終え、次の1年にどれだけのソフトを発売し、どれだけ新たな層にリーチできるか、巨大な市場だからこそ次の動きが待たれます。

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