新型コロナウイルスが猛威を振るい、旅行やビジネスの往来がこれまでのようにいかない状況が続いています。しかし一方で、自宅で仕事をすることや、自国にいながら海外企業と商談することなど、全世界でオンライン化が急速に拡大。こうした中、自国から海外市場にマーケティングを行うこともこれまでより身近になりつつあります。
この状況を踏まえ、在日中国人コミュニティを活用した中国マーケティングを行うアライドアーキテクツ株式会社に取材を依頼。同社でクロスボーダーカンパニー カンパニー長を務める番匠達也氏に、中国マーケティングやサービスの特徴についてオンラインでお話をうかがいました。
マーケティングの違いは口コミ文化
日本と中国は、地理や文化的には近しいものの、マーケティングを語る上で異なる点が多々あるといわれています。両国の市場を俯瞰して見える相違点とはいったい何なのでしょうか。
「口コミによるマーケティングが、日本よりも有効であるということは異なる点として1つ挙げられます。また、中国のSNSでは口コミを含む発信がとても盛んです。日本では見る専門としてSNSを活用している人も少なくありませんが、これと比較して中国では積極的に投稿する姿が見られます」
在日中国人女性を起用したBoJapan
画像:アライドアーキテクツこうした口コミの有用性に着目、活発な発信力を生かし中国へ向けた商品のプロモーションを行うのがアライドアーキテクツの運営する「BoJapan」というコミュニティ。取材日現在は、約2,800人の在日中国人女性が登録しています。
仕組みを簡単に説明すると、BoJapan内のメンバーにクライアント企業の製品の無料サンプリングを行い、メンバーはリアルな感想や体験談を中国SNSで発信。WeChatやREDといったSNSを通じて、彼女たちが日本で発信した声が海の向こうへ“越境”し、日本の商品の「口コミ」が中国で創出されていくのです。
BoJapan内のメンバーが持つSNS上のつながりは、中国にいる家族や友人だけでなく、同じく在日の中国人も含まれています。そのため、彼女たちが発信した声は越境マーケティングのみならず、日本に住む中国人に対するアピールにもなるのだといいます。
「インバウンド相談窓口」の役割に着目
画像:アライドアーキテクツ在日中国人に着目した背景について、番匠氏はインバウンドや越境ECといった分野における彼女らの役割があったといいます。
「インバウンドをみてみると、現地在住の中国人が日本の情報を調べるとき、在日中国人に相談することが多いという状況がみられました。越境ECについても同様で、『この商品が気になるんだけど日本では評判いい?』というようなやりとりもされています。つまり、在日中国人の方は以前から『インバウンド・越境ECの相談窓口』のような役割を担っていたというわけです」
実際に、アライドアーキテクツがBoJapanメンバーを対象に行ったアンケートでの「中国国内にいる家族・友人・知人からの日本に関する相談平均頻度」という項目では「週1回以上」と答えた割合が34.2%。彼女たちが日本に関する重要な情報源となっていることがわかります。