2021/02/13 エンタメ

約3時間の長編作品『在りし日の歌』 激動の時代を生きた「夫婦の物語」を中国映画界の“第六世代”が描く

(C)Dongchun Films Production

改革開放後、1980年代からの激動の中国、その時代を生きた普通の夫婦の運命を描いた映画『在りし日の歌』。『八佰(原題)』の管虎(グアン・フー)や『山河ノスタルジア』の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)など、現代中国映画を牽引する中国映画"第六世代"の名匠・王小帥(ワン・シャオシュアイ)が監督を務めました。

【画像6点】キャストには人気アイドルグループ「TFBOYS」の王源(ワン・ユエン)も

ワン・シャオシュアイ監督の作品は世界的に呼び声も高く、『我らが愛にゆれる時』ではベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀脚本賞)、『北京の自転車』ではベルリン映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞しています。

※本記事では一部ネタバレを含みます。

1980年代から2000年代を生きる夫婦を描く

北京の国営企業に勤める夫婦ヤオジュンとリーユンには、シンという一人息子がいました。同僚のインミンとハイイエン夫妻には、シンと生年月日を同じくして生まれたハオという息子がおり、家族ぐるみの付き合いをしていました。しかし、ある日、ハオと川で遊んでいた際にシンが事故で亡くなってしまいます。時代は一人っ子政策が進む中国、ふたりは最愛の息子を失い、悲しみの果てに故郷を捨て南方に移り住み、時が流れていく…。
 
中国で2015年まで実施されていた一人っ子政策。ヤオジュンとリーユン夫婦は、かつて第二子を授かっていたのですが、政策を推進するハイイエンの説得により堕胎させられ、リーユンは二度と妊娠ができない身体になってしまいます。その後訪れる、一人息子の死…。仲の良かった2組の夫婦は時代に大きく翻弄され、離れ離れになっていきます。

『在りし日の歌』は、ワン・シャオシュアイ監督が手がける「家園三部曲(家庭三部曲)」の1作目といわれています。歴史的な人物ではなく、「普通の人」が経験してきたことを通して、中国のリアルな姿、故郷や土地の概念を描き出し、観客をひきつけているのです。そして、この「家園三部曲」の2作目となる『沃土(原題)』が2022年公開予定と発表されており、こちらにも期待が高まりつつあります。

物語の中心となるヤオジュンとリーユン夫婦を演じたのは、王景春(ワン・ジンチュン)と詠梅(ヨン・メイ)。苦楽を共にし、激動の時代に翻弄されながらも手を取り合い、互いのために生きる夫婦を熱演しました。2人は本作での演技が評価され、第69回ベルリン国際映画祭で最優秀男優賞と最優秀女優賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

原題『地久天長』の意味

本作の原題『地久天長』は、日本では『蛍の光』として親しまれている楽曲『友誼地久天長(友情よ永遠に)』の一部から名付けられたもの。中国語の歌詞の内容は、時が流れても変わらない友情を歌っています。
 
かけがえのない友情を結びつつも、時代に翻弄され離れ離れとなったふたつの家族。彼らが時を経て再び心を許す姿にそっと寄り添うように、劇中の『友誼地久天長』が優しく響きます。

常に大きな変化をし続ける中国の片隅で生きる普通の人たちの姿を通して、激動の時代の中で生まれる喜びや悲しみをリアルに感じ取ることができます。観賞後は、大切な友人や家族に会いたくなる、そんな作品です。

在りし日の歌
(C)Dongchun Films Production

『在りし日の歌』
原題:地久天長
監督:王小帥(ワン・シャオシュアイ)
出演:王景春(ワン・ジンチュン)、咏梅(ヨン・メイ)、艾麗婭(アイ・リーヤー)、齊溪(チー・シー)、王源(ワン・ユエン)ほか
2019年/中国/185分
発売元:ビターズ・エンド、ミッドシップ
販売元:紀伊國屋書店
価格:4,800円+税
DVD好評発売中

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