2021/07/01 カルチャー

中国の若者を魅了する「漢服」 その裏にある「国潮」ブームとは?

写真:PIXTA

漢民族の伝統的な服装「漢服」。その優雅な見た目が中国の若い世代を中心に支持を集めています。

筆者自身、中国でここ数年、漢服を着た女性を見る機会が何度もありました。原っぱで中国箏と一緒に写真を撮るコスプレ撮影会のようなものから、おしゃれの延長線上で漢服を着用し、街でソフトクリームを友達と食べている女の子まで…彼女たちを見るに、楽しみ方は人それぞれのようです。ではこの漢服はなぜ若者の支持を集めているのでしょうか。
 
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右肩上がりの「漢服」市場

中国でにわかに注目を集めつつある「漢服」。市場も順調に右肩上がりを続けています。

調査会社のiiMediaResearchによれば、2021年の「漢服市場規模」は前年比59.7%増の101.6億元(約1,737億円)まで拡大、愛好者は689.4万人に増加すると見込んでいます。人口約14億人ということを考慮すると決して大多数とはいえませんが、市場が拡大傾向にあることは間違いありません。

「漢尚華蓮」や「重回漢唐」、「十三余」など、漢服にフォーカスしたブランドもすでに多数存在しており、TwitterやWeiboで自社ブランドの漢服を紹介しています。ブランドによっては40万以上のフォロワーを抱えています。

漢服業界に通じる「国潮」とは

そんな漢服にも関係するのが「国潮(グオチャオ)」です。「国潮」とは「中国国内の流行ブランド」というのがそもそもの意味。一昔前には、「中国ブランドはどこか野暮ったい」という印象があったものの、「国潮」というワードが注目されるようになってからはその印象がガラリと変わりました。

風向きが変わり始めたのは2017年ごろだと筆者は感じています。2017年ごろといえば、中国の「独身の日」や「QRコード決済」、「シェアサイクル」が日本でも話題になった年です。この年に「中国ブランドデー」というものが制定・スタートしています。

きっかけは中国ブランドの創造性の欠如

「中国ブランドデー」制定の前年、中国国内で「中国ブランドはクオリティや創造性が欠けている」と問題提議されていました。


「中信出版集団」と医療機器会社「宝塔」のコラボ商品 故宮で使われている伝統的な色をあしらったというマスク

この問題意識を持った結果、「中国ブランドデー」が設定され、故宮コラボグッズや中国コスメ、老舗メーカーのコラボ商品など、中国ブランドや歴史ある中国をテーマとする洗練されたデザインのプロダクトが次々と発売されました。そして、話題の「国潮」ブームにつながります。

この流れの延長線上に近年の漢服ブームがあると筆者は考えています。「国潮」ブームとともに中国を代表する伝統的な服飾にフォーカスしたブランドがいくつも立ち上がり、洗練されたデザイン・クオリティの「漢服」を供給。その結果、若者を中心に「中国の伝統文化もかっこいい」というイメージを醸成することに成功できたのではないでしょうか。

もちろん、漢服や国潮ブームのすべてが「中国ブランドデー」の旗振りによるものというわけではありません。アイドルやイケメン俳優などを次々と起用した近年の時代劇の流行も、その一端を担っているものと考えられます。

日本にも「漢服」ブームは来るのか

中国ブランドが注目を集めつつある状況に間違いはありませんが、コスメなどとは異なり、民族的な意味合いの強い「漢服」が日本の一般層にも広がることは考えにくいと筆者自身は考えています。とはいえ、日本やその他の海外で人気を博しつつある「中国時代劇」がさらに支持を得れば、漢服や中国古来の服装をコスプレとして楽しむ愛好家は増えてくることは十分考えられることだと思います。

中国ブランドのクオリティや創造性の欠如を発端に洗練されていった中国プロダクト。ここ数年の間で、日本でもこれらの話題に上ることが増えてきたことがその躍進ぶりを物語っているのではないでしょうか。

1元=17.1円で計算

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